
「管鮑の交わり」ということわざ、どこかで聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。でも、正確な意味は?と聞かれると、ちょっと迷ってしまいますよね。
この言葉は、友情の深さを表す故事成語として古くから使われてきたんですね。でも、ただの友情とは少し違う、特別な意味合いが込められているんです。
この記事では、「管鮑の交わり」の意味や由来はもちろん、実際の使い方が分かる例文、似た意味の類語、反対の意味を持つ対義語、そして英語ではどう表現するのかまで、まとめてご紹介していきますね。きっと、この記事を読み終わる頃には、自信を持ってこのことわざを使えるようになっているはずですよ。
「管鮑の交わり」を理解するための基礎知識

読み方
「管鮑の交わり」は、「かんぽうのまじわり」と読みます。
「管」は「かん」、「鮑」は「ほう」と読むんですね。この「鮑」という字は、魚の「アワビ」を表す漢字と同じなので、読み方に迷うかもしれませんが、人名の場合は「ほう」と読むことを覚えておくと便利ですよ。
「交わり」は「まじわり」と読み、人と人との親しい関係や付き合いを意味する言葉なんですね。
意味
「管鮑の交わり」は、互いに深く理解し合い、利害関係を超えた真の友情を意味する故事成語です。
この言葉が表しているのは、ただ仲が良いというだけではないんですね。相手のことを本当に理解して、どんな状況でも信じ続けることができる、そんな深い絆を指しているんです。
友人が困難な状況にあっても、表面的な行動だけで判断せず、その背景にある事情や心情まで察して理解できる関係。そういった無二の親友の関係を表現する時に使われるんですね。
現代でいえば、損得勘定抜きで、心から信頼し合える親友の関係とも言えるかもしれませんね。お互いの成功を心から喜び、失敗しても決して見捨てない、そんな理想的な友情を表しているんです。
語源と由来
「管鮑の交わり」の由来は、中国の春秋時代にさかのぼります。この言葉は、『史記』の「管晏列伝」に記された、管仲(かんちゅう)さんと鮑叔牙(ほうしゅくが)さんという二人の実在の人物の友情から生まれたんですね。
二人は幼い頃からの親友だったんです。若い頃、一緒に商売をしていた時のこと。利益を分ける際に、管仲さんが自分の取り分を多く取ってしまったことがありました。普通なら「ずるい」と非難されそうな状況ですよね。
でも、鮑叔牙さんは怒らなかったんです。それどころか、「管仲の家は貧しいから、多く取っても当然だ」と理解を示したんですね。この寛容さには、本当に驚かされますよね。
また、戦場での出来事も有名なんです。管仲さんは3度も戦場から逃げ出したことがあったそうです。これも普通なら「卑怯者」と呼ばれてしまいそうな行動ですよね。
でも、鮑叔牙さんは管仲さんを責めませんでした。むしろ「老いた母親を養わなければならないから逃げたのだ。管仲は決して臆病者ではない」と周囲に説明し、友人を守ったんです。
さらに印象的なのが、斉の国の後継者争いでの出来事です。二人はそれぞれ異なる公子に仕えていたため、敵味方に分かれることになってしまったんですね。管仲さんは公子糾に、鮑叔牙さんは公子小白(後の桓公)に仕えていました。
結果として、鮑叔牙さんが仕えていた公子小白が勝利し、桓公として即位することになりました。通常なら、敵側にいた管仲さんは処罰されるか、せいぜい冷遇されるところですよね。
しかし、鮑叔牙さんは違ったんです。桓公に対して「国を治めるには管仲以上の人材はいません」と強く推薦したんですね。そして、自分よりも優秀な友人を宰相の地位につけるよう働きかけたんです。
この推薦により、管仲さんは見事に宰相となり、斉の国を大いに繁栄させることになりました。のちに管仲さん自身が「私を生んでくれたのは両親だが、私を本当に理解してくれたのは鮑叔だ」と語ったと言われています。
この深い友情の物語が、時代を超えて「管鮑の交わり」という故事成語として伝えられてきたんですね。真の友情とは何かを教えてくれる、素晴らしい物語だと思いませんか?
ちなみに、歴史的には、この物語が完全な史実ではなく、戦国時代に創作された可能性があるという説もあるんです。当時の貴族が商売をするのは不自然だという指摘もあるんですね。でも、たとえ一部が脚色されていたとしても、この物語が伝えようとしている友情の価値は変わらないのかもしれませんね。
「使い方」がわかる「例文」3選

1:「彼らの仲はまさに管鮑の交わりだ」
この例文は、二人の友人関係の深さを表現する時に使える基本的な形なんですね。
たとえば、長年の親友が起業に失敗して借金を抱えた時に、もう一人の友人が無条件で支援する。そして、その友人がビジネスで成功した後、恩人である友人を事業のパートナーとして迎え入れる。そんな損得を超えた信頼関係を見た時、この表現がぴったりくるんですね。
「あの二人は学生時代からの親友だけど、彼らの仲はまさに管鮑の交わりだよ。どちらかが困っている時には必ず助け合っているし、お互いの成功を心から喜んでいるんだ」というように使うことができますよ。
2:「私たちの友情は管鮑の交わりと呼べるものになった」
この例文は、自分と親友との関係を振り返る時に使える表現ですね。
長い時間をかけて築いてきた信頼関係を表現したい時に使えるんです。たとえば、何十年も続く友情を振り返って、「最初は普通の友達だったけれど、お互いの人生の浮き沈みを共に経験し、どんな時も理解し合ってきた。今では私たちの友情は管鮑の交わりと呼べるものになったと思う」というような使い方ができますよ。
自分の友情に誇りを持って表現できる、素敵な言い方だと思いませんか?
3:「管鮑の交わりのような友人が一人でもいれば、人生は豊かになる」
この例文は、真の友情の価値について語る時に使える表現なんですね。
スピーチや文章で、友情の大切さを伝えたい時に効果的な使い方なんです。「人生では多くの人と出会いますが、管鮑の交わりのような友人が一人でもいれば、それだけで人生は豊かになるものです。お互いを深く理解し、信頼できる友がいることの幸せを、皆さんも大切にしてくださいね」というように使うことができますよ。
結婚式のスピーチや、卒業式の言葉などでも使える、格調高い表現かもしれませんね。
似た意味の「ことわざ」は?「類語」「言い換え」表現
刎頸の交わり(ふんけいのまじわり)
「刎頸の交わり」は、お互いのためなら首を刎ねられても構わないほどの深い友情を意味する故事成語なんですね。
こちらも中国の故事に由来していて、戦国時代の趙の国の廉頗(れんぱ)さんと藺相如(りんしょうじょ)さんの友情から生まれた言葉なんです。
「管鮑の交わり」と似ていますが、「刎頸の交わり」のほうが、より命をかけるほどの強い結びつきを強調しているニュアンスがあるかもしれませんね。どちらも真の友情を表す言葉ですが、「刎頸の交わり」は自己犠牲の覚悟まで含んでいる感じがしますよね。
水魚の交わり(すいぎょのまじわり)
「水魚の交わり」は、魚と水のように切っても切れない親密な関係を表す言葉なんですね。
この表現は、三国志の劉備(りゅうび)さんと諸葛亮(しょかつりょう、諸葛孔明)さんの関係から生まれたとされています。劉備さんが「孔明を得たのは、魚が水を得たようなものだ」と言ったことが由来なんです。
「管鮑の交わり」が対等な友人同士の関係を強調しているのに対し、「水魚の交わり」は君主と臣下、師と弟子など、立場が異なる間柄でも使えるという違いがあるんですね。お互いになくてはならない存在であることを表現する時に使えますよ。
金蘭之契(きんらんのちぎり)
「金蘭之契」は、金のように固く、蘭のように香り高い友情の契りを意味する四字熟語なんですね。
この表現は、『易経』に由来していて、「二人同心、その利きこと金を断つ。同心の言、その臭き蘭の如し」という言葉から生まれたんです。つまり、心を一つにした友人は金属をも断ち切るほど強く、その言葉は蘭のように美しい香りを放つという意味なんですね。
「管鮑の交わり」に比べると、やや文学的で詩的な表現かもしれませんね。友情の美しさや気高さをより強調したい時に使えますよ。
莫逆の友(ばくぎゃくのとも)
「莫逆の友」は、心が逆らうことがない、つまり心が完全に通じ合った親友を意味する言葉なんですね。
「莫逆」とは「逆らうことがない」という意味で、お互いの考えや気持ちが完璧に理解し合える関係を表しているんです。
「管鮑の交わり」が具体的なエピソードを背景に持つのに対し、「莫逆の友」はより抽象的に、心の通じ合いを強調している感じがしますね。日常会話でも使いやすい表現かもしれません。
「対義語」は?
犬猿の仲(けんえんのなか)
「犬猿の仲」は、犬と猿のように仲が悪いことを表す有名なことわざですね。
深い理解と信頼で結ばれた「管鮑の交わり」とは正反対に、お互いに対立し合い、一緒にいるだけで喧嘩になってしまうような関係を指すんです。
「あの二人は昔は親友だったのに、今では犬猿の仲になってしまった」というように使われることが多いですね。信頼と理解の対極にある、敵対的な関係性を表現する時に使えますよ。
呉越同舟(ごえつどうしゅう)
「呉越同舟」は、仲の悪い者同士が同じ場所に居合わせることを意味する故事成語なんですね。
元々は、敵対関係にあった呉と越の人々が同じ船に乗り合わせたという故事から来ているんです。転じて、危機的状況では敵同士も協力せざるを得ないという意味でも使われますよ。
「管鮑の交わり」が自発的で心からの友情を表すのに対し、「呉越同舟」は仕方なく、あるいは一時的に同じ立場にいるという、表面的で不本意な関係を示しているんですね。根本的な信頼関係がないという点で、対義的な表現と言えるかもしれません。
面従腹背(めんじゅうふくはい)
「面従腹背」は、表面では従っているように見せながら、内心では反抗していることを意味する四字熟語なんですね。
「管鮑の交わり」が表裏のない純粋な信頼関係を表すのに対し、「面従腹背」は二面性があり、本心を隠している関係性を示しているんです。
真の理解と信頼がある関係とは真逆の、偽りの関係を表現する言葉として、対義語の一つと考えられますよね。「彼は上司に対して面従腹背の態度を取っている」というように使われることが多いんです。
「英語」で言うと?
Bosom friends(心の友)
「Bosom friends」は、胸襟を開いて付き合える親密な友人を意味する英語表現なんですね。
「bosom」は「胸」や「心の奥底」を意味する言葉で、心の底から信頼できる友人関係を表しているんです。「管鮑の交わり」のような深い友情を英語で表現する時に、とても適した言葉ですよ。
使用例としては、「They have been bosom friends since childhood.(彼らは子供の頃からの心の友だ)」のように使えますね。格調高い文章や文学作品でよく見られる表現かもしれません。
A friend in need is a friend indeed(まさかの時の友こそ真の友)
「A friend in need is a friend indeed」は、困難な時にそばにいてくれる友人こそが本当の友人であるという意味の英語のことわざなんですね。
このことわざは、鮑叔牙さんが管仲さんを何度も困難から救い、理解し続けた姿勢にぴったり合っていると思いませんか?表面的な付き合いではなく、本当に困った時に助けてくれる友情の価値を表現しているんです。
「He proved to be a friend in need is a friend indeed when I lost my job.(私が仕事を失った時、彼はまさに『まさかの時の友こそ真の友』であることを証明してくれた)」というように使えますよ。
Friendship that stands the test of time(時の試練に耐える友情)
「Friendship that stands the test of time」は、時間の試練に耐え抜く友情を意味する英語表現なんですね。
管仲さんと鮑叔牙さんの友情は、商売、戦場、政治的対立など、様々な困難や試練を経ても変わらなかったんです。まさに時の試練に耐えた友情と言えますよね。
「Their friendship stands the test of time through all the ups and downs in life.(彼らの友情は人生の浮き沈みを通じて時の試練に耐えている)」のように使うことができますよ。長年続く深い友情を表現したい時に効果的な言い回しですね。
まとめ
「管鮑の交わり」について、意味や由来、使い方まで詳しく見てきましたが、いかがでしたか?
この故事成語は、中国春秋時代の管仲さんと鮑叔牙さんという二人の友人の、利害を超えた深い理解と信頼に基づく友情を表しているんでしたね。相手の行動の背景まで理解し、どんな状況でも信じ続けることができる、そんな理想的な友情の形を教えてくれる言葉なんです。
使い方としては、本当に深い絆で結ばれた友人関係を表現する時に使うのが適切ですよ。ただの仲良し程度ではなく、お互いを心から理解し、困難な時も支え合える関係に対して使うのがふさわしいんですね。
似た意味の言葉には「刎頸の交わり」や「水魚の交わり」などがありましたが、それぞれ微妙にニュアンスが異なるので、状況に応じて使い分けられると素敵ですよね。
友情の大切さは時代が変わっても変わらないものです。現代社会では、SNSで繋がる友達は増えても、本当の意味で「管鮑の交わり」と呼べるような深い友人関係を築くのは難しいかもしれませんね。
でも、だからこそ、このことわざが教えてくれる友情の価値を大切にしたいものです。もしあなたにも、心から信頼できる親友がいるなら、その関係をぜひ大切にしてくださいね。そして、この「管鮑の交わり」という美しい言葉を、日常会話や文章の中で使ってみてはいかがでしょうか。きっと、あなたの言葉に深みと品格を添えてくれるはずですよ。