
「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざ、聞いたことはあるけれど、いざ「どういう意味?」と聞かれると、正確に答えるのは難しいですよね。なんとなく「欲張るとダメ」みたいなニュアンスは伝わってくるけれど、具体的にどんな場面で使えばいいのか、どんな由来があるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「二兎を追う者は一兎をも得ず」の意味や由来から、実際の使い方がわかる例文、さらには類語や対義語、英語表現まで、幅広く解説していきますね。最近では、このことわざに対する新しい解釈も生まれているんですよ。一緒に見ていきましょう。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」を理解するための基礎知識

まずは、このことわざの基本的な情報から押さえていきましょう。読み方や意味、そしてどんな背景から生まれたことわざなのかを知ることで、より深く理解できるようになりますよ。
読み方
「二兎を追う者は一兎をも得ず」は、「にとをおうものはいっともえず」と読みます。
「二兎」は「にと」、「一兎」は「いっと」と読むんですね。「兎」という漢字は普段あまり使わないので、読み方を間違えやすいかもしれませんが、「うさぎ」のことです。覚えておくと、いざという時にスムーズに使えますよね。
意味
「二兎を追う者は一兎をも得ず」は、同時に複数のことを追い求めると、結局どれも達成できなくなるという意味のことわざです。
二羽のウサギを同時に捕まえようとすると、どちらも逃げてしまって、結局は一羽も捕まえられないという状況から来ているんですね。つまり、欲張って複数のことに手を出すと、かえって何も手に入らないという教訓を伝えているんです。
一つのことに集中することの大切さを説いていて、特に何かに取り組んでいる時に「あれもこれも」と手を広げすぎることへの戒めとして使われることが多いですよ。
語源と由来
このことわざ、実は西欧の故事に由来しているんです。意外ですよね。日本で古くから伝わることわざのように感じますが、もともとは英語の「If you run after two hares, you will catch neither.」を日本語に訳したものなんですね。
直訳すると「二羽のウサギを追いかけると、どちらも捕まえられない」という意味になります。西洋では、狩りの場面を想像するとわかりやすいかもしれませんね。森の中で二羽のウサギが別々の方向に逃げていったら、どちらか一方に集中しないと、結局どちらも逃がしてしまう……そんな実体験から生まれたことわざだと考えられています。
日本に入ってきてからは、仕事や勉強、人生の選択など、さまざまな場面で使われるようになりました。シンプルだけど深い教訓を持っていることから、多くの人に愛されることわざになったんですね。
「使い方」がわかる「例文」3選

それでは、実際にどんな場面でこのことわざを使えばいいのか、具体的な例文を見ていきましょう。日常会話からビジネスシーン、自己啓発まで、いろいろな状況で使える便利なことわざなんですよ。
1:「資格試験の勉強と転職活動を同時に進めようとしたけど、二兎を追う者は一兎をも得ずで、どちらも中途半端になってしまった」
これは自己啓発やキャリアに関する場面での使い方ですね。
転職を考えている時に、「スキルアップのために資格も取りたい」と思う気持ち、とてもよくわかります。でも、両方を同時に全力でやろうとすると、時間もエネルギーも分散してしまうんですよね。結果として、資格試験の勉強も十分にできず、転職活動も準備不足のまま面接に臨んでしまう……そんな経験、ありませんか?
この例文は、同時並行で複数のことに取り組むリスクを表していて、「二兎を追う者は一兎をも得ず」の典型的な使い方と言えますね。
2:「息子は野球もサッカーもやりたいと言っているけど、二兎を追う者は一兎をも得ずだから、まずは一つに絞った方がいいと思うんだよね」
こちらは、教育や習い事に関する場面での使い方です。
子どもさんが「あれもやりたい、これもやりたい」と言う時、親御さんとしては悩みますよね。可能性を広げてあげたい気持ちと、一つのことを極めてほしい気持ちの間で揺れ動くかもしれません。
この例文では、複数の活動に分散するよりも、一つに集中した方が成果が出やすいというアドバイスの意味で使われています。特に、限られた時間やエネルギーの中で最大の効果を得たい時に、このことわざが役立つんですね。
3:「ビジネスで新規事業を立ち上げながら既存事業も拡大しようとしたら、二兎を追う者は一兎をも得ずになりかねないから、優先順位をつけましょう」
こちらはビジネスシーンでの使い方ですね。
企業経営や事業運営では、「あれもやりたい、これもチャンスだ」と複数のプロジェクトを同時に進めたくなることがあります。でも、リソース(人材や資金、時間)には限りがありますよね。すべてに手を出すと、結局どれも中途半端になってしまうリスクがあるんです。
この例文は、戦略的に優先順位をつけることの重要性を伝えていて、ビジネスの現場で使いやすい表現になっています。会議やプレゼンテーションでも使えそうですね。
似た意味の「ことわざ」は?「類語」「言い換え」表現
「二兎を追う者は一兎をも得ず」と似た意味を持つことわざや表現は、実はたくさんあるんです。それぞれ微妙にニュアンスが違うので、状況に応じて使い分けられると便利ですよ。
虻蜂取らず(あぶはちとらず)
「虻蜂取らず」は、欲張って二つのものを同時に手に入れようとすると、結局どちらも得られないという意味のことわざです。
虻(あぶ)と蜂(はち)の両方を同時に捕まえようとしても、どちらも逃げてしまうという状況から来ているんですね。「二兎を追う者は一兎をも得ず」とほぼ同じ意味ですが、こちらの方が少し古風な響きがあるかもしれませんね。
使い方としては、「あの仕事もこの仕事も受けようとして、虻蜂取らずになってしまった」のように使えます。日常会話でも使いやすいことわざですよ。
心は二つ身は一つ
「心は二つ身は一つ」は、やりたいことは複数あっても、実際に行動できるのは一つずつという意味の表現です。
心の中では「あれもやりたい、これもやりたい」と思っていても、実際の体は一つしかないので、同時に複数のことはできないんですよね。この表現は、物理的な限界を強調している点で、「二兎を追う者は一兎をも得ず」とは少しニュアンスが違います。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」が「結果として失敗する」ことを警告しているのに対して、「心は二つ身は一つ」は「そもそも同時進行は難しい」という現実を示しているんですね。
二股膏薬(ふたまたこうやく)
「二股膏薬」は、どっちつかずの態度で、あちこちにいい顔をすることを意味することわざです。
膏薬(こうやく)というのは、昔の貼り薬のことで、両側に貼れることから、どちらにでも貼り付く=どちらにでもいい顔をする人のことを指すようになったんですね。
このことわざは、「二兎を追う者は一兎をも得ず」と似ていますが、特に人間関係や立場において、どっちつかずの態度を取ることを批判的に表現している点が特徴です。政治や組織の中でよく使われる表現かもしれませんね。
一を取って二を捨てる
「一を取って二を捨てる」は、複数の選択肢の中から一つを選び、他を諦めるという意味の表現です。
これは「二兎を追う者は一兎をも得ず」の教訓を実践する時の行動を表している言葉とも言えますね。欲張らずに一つに絞る、という決断の重要性を示しています。
ビジネスや人生の岐路で、「一を取って二を捨てる覚悟が必要だ」のように使うことができますよ。
「対義語」は?
「二兎を追う者は一兎をも得ず」とは反対の意味を持つことわざや表現もあります。こちらも知っておくと、状況に応じて使い分けができて便利ですよね。
一石二鳥(いっせきにちょう)
「一石二鳥」は、一つの行動で二つの利益や成果を得ることを意味する四字熟語です。
一つの石を投げて、二羽の鳥を同時に捕まえるという状況から来ているんですね。「二兎を追う者は一兎をも得ず」が「複数を追うと失敗する」と警告しているのに対して、「一石二鳥」は「一つの努力で複数の成果が得られた」という成功を表しているんです。
「朝のジョギングは健康にもいいし、通勤時間の短縮にもなって一石二鳥だ」のように使います。効率の良さを褒める時によく使われる表現ですよね。
一挙両得(いっきょりょうとく)
「一挙両得」は、一つの行動で二つの利益を得ることを意味する四字熟語です。
「一石二鳥」とほぼ同じ意味ですが、こちらの方が少しフォーマルな響きがあるかもしれませんね。「一挙」というのは「一度の動作」という意味で、「両得」は「二つの利益を得る」という意味です。
ビジネス文書や改まった場面で「この施策は一挙両得の効果が期待できます」のように使うことができますよ。
二兎を追うものだけが二兎を得る
これは興味深い表現ですね。「二兎を追う者は一兎をも得ず」の真逆の考え方を示した言葉なんです。
従来のことわざに対する反論として、「複数のことを追い続けることで、結果的に多くを手に入れられる」という現代的な価値観を表しているんですね。一つに絞らずに、むしろ複数の可能性にチャレンジし続けることの重要性を主張しています。
特に、変化の激しい現代社会では、一つの分野だけに依存するリスクが高まっているという背景もあります。複数のスキルを持つこと、複数の収入源を持つことが、かえって安定につながるという考え方なんですね。
「副業時代には、二兎を追うものだけが二兎を得るという発想も必要かもしれない」のように、新しい働き方や生き方を提案する時に使われることが増えていますよ。
「英語」で言うと?
「二兎を追う者は一兎をも得ず」を英語で表現する方法もいくつかあります。国際的なビジネスシーンや英会話でも使える表現なので、覚えておくと役立ちますよ。
If you run after two hares, you will catch neither.(二羽のウサギを追いかけると、どちらも捕まえられない)
これが最も直訳に近い英語表現ですね。
実は、日本のことわざ「二兎を追う者は一兎をも得ず」の由来そのものがこの英語表現なんです。「hare」はウサギを意味する単語で、「neither」は「どちらも〜ない」という意味ですね。
文法的には仮定法を使っていて、「もし〜したら、〜になるだろう」という構造になっています。英語圏の人にもすんなり伝わる表現ですよ。
Between two stools one falls to the ground.(二つの椅子の間に座ろうとすると地面に落ちる)
こちらは同じ意味を持つ別の英語のことわざです。
「stool」は背もたれのない椅子のことで、二つの椅子の間に座ろうとすると、結局どちらにも座れずに地面に落ちてしまうという状況を表しているんですね。視覚的にわかりやすい表現だと思いませんか?
この表現も、二つのものを同時に得ようとして失敗するという教訓を伝えています。国や地域によって、同じ教訓でも表現方法が違うのは興味深いですよね。
Jack of all trades, master of none.(すべての仕事に手を出すが、どれも極められない)
これも似た意味を持つ英語の表現です。
「Jack」は一般的な男性の名前で、ここでは「誰でも」という意味で使われています。「trade」は職業や技能のこと、「master」は熟達者という意味ですね。直訳すると「すべての職業に手を出すが、どれも熟達者にはなれない」となります。
この表現は、広く浅くよりも、一つのことを深く極めることの価値を示していて、「二兎を追う者は一兎をも得ず」と通じる部分がありますね。ビジネスの場面でも使いやすい表現ですよ。
まとめ
「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざについて、意味や由来、使い方まで詳しく見てきましたが、いかがでしたか?
このことわざの核心は、複数のことを同時に追い求めると、結局どれも手に入らないという教訓でしたね。西欧の故事に由来する表現で、狩りの場面から生まれた実践的な知恵なんです。
日常生活では、勉強や仕事、習い事など、「あれもこれも」と手を広げたくなる場面がたくさんありますよね。そんな時に、このことわざを思い出すことで、優先順位をつけて一つのことに集中する大切さを再認識できるかもしれません。
ただし、現代社会では「二兎を追うものだけが二兎を得る」という新しい考え方も生まれているんですね。状況によっては、複数の活動を並行することで、リスク分散や人生の豊かさにつながることもあるんです。
大切なのは、自分の状況やリソースを冷静に見極めて、「今、何に集中すべきか」を判断することかもしれませんね。時には一つに絞る勇気を持ち、時には複数の可能性にチャレンジする柔軟性を持つ……そんなバランス感覚が求められているのかもしれません。
ぜひ、この記事で学んだ「二兎を追う者は一兎をも得ず」を、日常会話や仕事の場面で使ってみてくださいね。きっと、あなたの言葉に深みと説得力が増すはずですよ。