
「忘年の交わり」ということわざ、どこかで耳にしたことはありませんか?
年末が近づくと「忘年会」という言葉はよく聞きますが、「忘年の交わり」となると、ちょっと意味が曖昧になってしまいますよね。
実はこのことわざ、年齢差を気にせず親しく付き合う関係を表す、とても素敵な言葉なんですね。
でも「正確にはどういう意味?」「どんな場面で使えばいいの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「忘年の交わり」の意味・由来・例文・類語・対義語・英語表現まで、皆さんが知りたい情報を網羅的にご紹介していきますね。
読み終わる頃には、きっとこのことわざを日常会話でも使えるようになっているかもしれません。
「忘年の交わり」を理解するための基礎知識

まずは「忘年の交わり」とは何なのか、基本的なところから一緒に確認していきましょうね。
読み方
「忘年の交わり」は、「ぼうねんのまじわり」と読みます。
「忘年会(ぼうねんかい)」と似ている言葉なので読み方は迷わないかもしれませんが、意味はまったく異なるんですね。
「交わり」という言葉から、人と人との関係性を表す言葉だということが想像できるのではないでしょうか。
意味
「忘年の交わり」とは、年齢差を気にせず、お互いの才能や人柄を尊重して親しく付き合うことを意味しています。
ここでいう「忘年」は、「年を忘れる」つまり「年齢を忘れる」という意味なんですね。
年上だから、年下だからといった上下関係を意識せず、対等な友人として交際する様子を表しているんです。
儒教の影響が強い東アジアの文化では、伝統的に年功序列が重視されてきました。
そんな中で年齢差を超えて対等に付き合える関係というのは、とても稀有で理想的な人間関係として尊ばれてきたんですね。
語源と由来
「忘年の交わり」の由来は、中国の後漢時代の故事にさかのぼると言われています。
後漢時代の学者であり政治家でもあった孔融(こうゆう)さんという人物がいました。
孔融さんは、かの有名な孔子の末裔としても知られる人物だったんですね。
あるとき、孔融さんが50歳を過ぎた頃、禰衡(でいこう)さんという20歳にも満たない若き天才と出会いました。
禰衡さんは文章の才能に優れ、博学で知られる若者だったそうです。
普通なら、年長者である孔融さんが年下の禰衡さんを弟子や後輩として扱うところですよね。
でも孔融さんは禰衡さんの才能と人柄を深く敬い、年齢差を超えて対等な友人として親しく交際したんですね。
この美しい友情のエピソードが、「忘年の交わり」ということわざの由来になったとされています。
この故事は『後漢書』という歴史書に記録されており、「忘年之交(ぼうねんのこう)」とも呼ばれています。
年齢や地位といった外的な要素ではなく、その人自身の内面的な価値を見て付き合うという、現代にも通じる大切な教えが込められているんですね。
「使い方」がわかる「例文」3選

それでは実際に「忘年の交わり」をどのように使えばいいのか、例文を見ながら確認していきましょう。
1:「あの二人は30歳も年が離れているのに、まるで同級生のように仲が良くて、まさに忘年の交わりだね」
これは、年齢差のある二人が対等な友人関係を築いている様子を表現した例文ですね。
職場や趣味のサークルなどで、年齢が大きく離れているのに気が合う友人ができることって、ありますよね。
そんなとき、この「忘年の交わり」ということわざがぴったり当てはまるんです。
年齢差があっても、お互いの価値観や興味が一致すれば、自然と対等な関係が生まれるものなんですね。
このことわざは、そういった素敵な人間関係を称賛する言葉として使われます。
2:「師匠と弟子という関係を超えて、二人は忘年の交わりを結んでいる」
こちらは、元々は師弟関係だった二人が、年齢や立場を超えて対等な友情で結ばれている状況を表した例文です。
メンターと若手、先生と生徒といった関係からスタートしても、時間が経つにつれて互いを尊重し合う対等な関係に発展することがありますよね。
特に、若い側が成長して実力をつけたとき、年長者がその成長を認めて対等に接するようになる、そんな美しい関係性を表現できるんです。
この使い方からは、年齢や肩書きにとらわれず、相手の実力や人間性を評価する姿勢の大切さが感じられますね。
3:「彼とは親子ほども年が違うが、共通の趣味を通じて忘年の交わりを深めることができた」
この例文は、趣味や興味を通じて年齢差を超えた友情が生まれた様子を描いています。
音楽、スポーツ、アート、読書など、共通の興味があると年齢差なんて関係なくなることってありますよね。
好きなものについて語り合っているうちに、いつの間にか年齢を忘れて対等な関係になっていた、なんて経験をお持ちの方もいるかもしれません。
「忘年の交わりを深める」という使い方をすると、年齢差を超えた関係が時間とともに深まっていく様子を表現できるんですね。
似た意味の「ことわざ」は?「類語」「言い換え」表現
「忘年の交わり」と似た意味を持つことわざや表現も、いくつか存在しています。
それぞれ微妙にニュアンスが異なるので、一緒に見ていきましょうね。
忘形の交わり(ぼうけいのまじわり)
「忘形の交わり」は、地位や身分を忘れて親しく付き合うことを意味することわざです。
「忘年の交わり」が「年齢」を忘れることに焦点を当てているのに対し、「忘形の交わり」は「形」、つまり社会的な地位や身分を忘れることに重点が置かれているんですね。
たとえば、社長と平社員、お医者さんと患者さんといった立場の違いを超えて友人になる場合に使われます。
年齢差があまりなくても、社会的な立場に大きな差がある場合は、こちらの表現の方が適切かもしれませんね。
忘言の交わり(ぼうげんのまじわり)
「忘言の交わり」は、言葉を交わさなくても心が通じ合う親しい関係を表すことわざです。
「忘年の交わり」や「忘形の交わり」とは少し違って、こちらは「言葉」を忘れるという意味なんですね。
つまり、いちいち言葉で説明しなくても相手のことが理解できる、阿吽の呼吸で通じ合える深い友情を指しているんです。
長年連れ添った夫婦や、幼なじみ同士の関係などを表現するときに使われることが多いですね。
「忘年の交わり」が年齢差を超えた関係に焦点を当てているのに対し、「忘言の交わり」は関係の深さや心の通じ合いを強調しているところが違いです。
水魚の交わり(すいぎょのまじわり)
「水魚の交わり」は、水と魚のように切り離せない親密な関係を表すことわざです。
これは中国の三国志に登場する劉備と諸葛亮の関係を表した言葉としても有名ですよね。
魚が水なしでは生きられないように、互いになくてはならない深い結びつきを意味しているんです。
「忘年の交わり」が年齢差を超えた対等な関係を表すのに対し、「水魚の交わり」は必ずしも対等でなくても構わず、互いに必要不可欠な関係性を強調している点が異なりますね。
刎頸の交わり(ふんけいのまじわり)
「刎頸の交わり」は、首を斬られても後悔しないほどの深い友情を意味することわざです。
これも中国の故事に由来する言葉で、命を懸けても守りたいと思えるような固い友情を表しているんですね。
「刎頸」とは首を斬ることを意味しており、かなり強い表現になっています。
「忘年の交わり」が年齢差を超えた対等な関係を表すのに対し、「刎頸の交わり」は友情の深さや強さを強調している点で違いがありますね。
どちらかというと男性同士の友情を表すときによく使われる印象があるかもしれません。
「対義語」は?
では逆に、「忘年の交わり」とは反対の意味を持つことわざや表現には、どのようなものがあるのでしょうか。
長幼の序(ちょうようのじょ)
「長幼の序」は、年長者と年少者の間には守るべき秩序があるという儒教的な教えを表す言葉です。
年齢による上下関係を重視し、年長者を敬い年少者を導くべきだという考え方ですね。
「忘年の交わり」が年齢差を気にせず対等に付き合うことを理想とするのに対し、「長幼の序」は年齢による秩序を重んじる点で対義的な概念と言えるでしょう。
もちろん、年長者を敬うことは大切なマナーですよね。
ただ、「忘年の交わり」のような対等な関係も人間関係の理想の一つとして認められているところに、深い意味があるのかもしれませんね。
年功序列(ねんこうじょれつ)
「年功序列」は、年齢や勤続年数によって地位や待遇が決まる制度を指す言葉です。
特に日本の伝統的な企業文化でよく見られる考え方で、年齢が上がるほど役職や給与が上がっていく仕組みですね。
この制度では、年齢や入社年次が重視されるため、実力があっても若手が年長者と対等に扱われることは少なくなります。
「忘年の交わり」が年齢を忘れて才能や人柄で評価し合う関係を理想とするのに対し、「年功序列」は年齢を基準にした階層的な関係を前提としている点で対照的ですね。
上下関係(じょうげかんけい)
「上下関係」は、立場や地位の差による上下の関係を指す一般的な言葉です。
学校の先輩後輩、会社の上司部下、師弟関係など、社会生活の中ではさまざまな上下関係が存在しますよね。
こうした関係では、上の立場の人が指示や指導をし、下の立場の人がそれに従うという構図が基本になります。
「忘年の交わり」ではそうした上下関係を超えて対等に付き合うことを理想としているわけですから、上下関係を維持することとは対義的な考え方と言えるでしょう。
ただし、場面によっては上下関係も必要ですし、それを完全に否定するわけではないんですね。
「英語」で言うと?
では、「忘年の交わり」を英語で表現するとしたら、どのような言い方があるのでしょうか。
いくつかご紹介していきますね。
friendship regardless of age(年齢に関係ない友情)
最も直訳的でわかりやすい表現が、"friendship regardless of age"ですね。
"regardless of"は「~に関係なく」という意味なので、「年齢に関係ない友情」となります。
「忘年の交わり」の意味を正確に伝えられる表現ですね。
英語圏の文化でも、年齢差を超えた友情は珍しいものとして認識されています。
"age is just a number"(年齢はただの数字)という表現もよく使われますが、これも年齢を気にせず付き合うという意味で、「忘年の交わり」に通じるものがありますね。
age-blind friendship(年齢を意識しない友情)
"age-blind friendship"という表現も、「忘年の交わり」の意味をよく表しています。
"blind"は「盲目の」という意味ですが、ここでは「~を意識しない」「~を気にしない」という意味で使われているんですね。
"color-blind"(色盲、または人種差別をしない)という言葉と同じような使い方です。
年齢を見ない友情、つまり年齢を超越した友情というニュアンスが伝わる表現ですね。
カジュアルな会話でも使いやすい自然な英語表現だと思います。
friendship that transcends age(年齢を超越する友情)
"friendship that transcends age"は、もう少しフォーマルな表現になりますね。
"transcend"は「超越する」「乗り越える」という意味の動詞で、年齢という境界線を超えていく友情を表現しています。
文学的で格調高い印象を与える表現なので、フォーマルな文章やスピーチなどで使うと効果的かもしれません。
「忘年の交わり」という言葉自体が古典的な故事に由来する格式のある表現ですから、この英語表現はそうした雰囲気をよく伝えられる言い方だと言えるでしょうね。
まとめ
ここまで「忘年の交わり」について、意味から由来、使い方まで詳しく見てきましたね。
最後に、大切なポイントをもう一度振り返ってみましょう。
「忘年の交わり」は、年齢差を気にせず、才能や人柄を尊重して対等に付き合う友情を意味することわざでした。
中国の後漢時代、50代の孔融さんと20歳未満の禰衡さんが、年齢差を超えて友人として親しく交際したという美しい故事に由来しているんでしたね。
年功序列が重視される社会の中で、年齢や立場を超えて対等に付き合える関係というのは、とても貴重で理想的な人間関係なんです。
相手の年齢や肩書きではなく、その人自身の内面や才能を見て評価するという姿勢は、現代社会でもとても大切なことではないでしょうか。
類語には「忘形の交わり」(地位を忘れた交わり)や「水魚の交わり」(切り離せない親密な関係)などがあり、それぞれ微妙に意味が異なるんでしたね。
一方で、「長幼の序」や「年功序列」といった、年齢による秩序を重視する考え方とは対照的な概念でもありました。
職場の上司と部下、メンターと若手、趣味の仲間同士など、私たちの周りにも年齢差のある関係はたくさんありますよね。
そんな関係の中で、もし年齢を気にせず対等に付き合える素敵な友情が生まれたら、ぜひ「忘年の交わり」という言葉を思い出してみてください。
この記事が、皆さんの人間関係をより豊かにするヒントになれば嬉しいです。
年齢にとらわれず、相手の人間性を大切にする「忘年の交わり」の精神、ぜひ日常生活の中でも意識してみてくださいね。