ことわざ

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の意味や由来とは?例文でわかりやすく解説!

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の意味や由来とは?例文でわかりやすく解説!

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざ、聞いたことはあるけれど、正確な意味は?と聞かれると少し迷ってしまいますよね。

実はこのことわざ、私たち人間の心理を的確に言い当てた、とても深い意味を持つ表現なんです。

苦しい経験をしているときは「もう二度とこんなことはしない」と心に誓うのに、時間が経つとケロッと忘れてしまう…。そんな経験、誰にでもあるのではないでしょうか。

この記事では、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の意味や由来、実際の使い方を例文を交えて詳しく解説します。さらに、類語・対義語・英語表現まで網羅的にご紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」を理解するための基礎知識

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」を理解するための基礎知識

まずは、このことわざの基本的な情報から確認していきましょう。

読み方

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」は、「のどもとすぎればあつさをわすれる」と読みます。

「喉元」を「のどもと」と読むところがポイントですね。「のどぐち」と読まないように注意しましょう。

日常会話では「喉元過ぎれば」と省略して使われることもありますが、正式には「喉元過ぎれば熱さを忘れる」が完全な形です。

意味

このことわざは、熱いものを飲み込んで喉を通り過ぎてしまえば、その熱さを忘れてしまうように、苦しい経験や困難が過ぎ去ってしまえば、その痛みや苦労を簡単に忘れてしまうことを表しています。

さらに深い意味として、苦しいときに受けた恩や、助けてくれた人の親切を、状況が良くなると忘れてしまう人間の性質を戒める意味も含まれています。

つまり、このことわざには大きく分けて2つの側面があるんですね。

  • 困難や苦痛の記憶が薄れ、同じ過ちを繰り返してしまう人間の弱さ
  • 苦しいときに受けた恩義を、楽になると忘れてしまう恩知らずな態度

どちらも、人間の浅はかさや弱さを指摘する表現として使われています。

語源と由来

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の由来は、熱い飲み物や食べ物を口にした経験から来ています。

熱々のお茶や味噌汁を飲んだとき、口の中や舌が熱くて「熱い!」と感じますよね。しかし、一度喉を通り過ぎてしまえば、その熱さはすぐに忘れてしまい、また同じように熱いものを口にしてしまう…。

この日常的な経験が、苦しみや困難を忘れてしまう人間の性質を表すたとえとして、ことわざになったと言われています。

江戸時代の文献にもこのことわざの記載が見られることから、かなり古くから使われてきた表現であることがわかります。

広辞苑にも掲載されている伝統的な日本のことわざで、世代を超えて受け継がれてきた人生の教訓の一つなんですね。

興味深いのは、このことわざが単なる「忘れっぽさ」を指摘するだけでなく、「恩義を忘れる」という道徳的な警告も含んでいる点です。日本人の倫理観や人間関係の在り方が反映された、奥深いことわざだと言えるでしょう。

「使い方」がわかる「例文」3選

「使い方」がわかる「例文」3選

それでは、実際にこのことわざがどのように使われるのか、具体的な例文を見ていきましょう。

1:「あれだけ徹夜で苦労したのに、喉元過ぎれば熱さを忘れるで、また締め切りギリギリまで何もしていない」

これは、同じ失敗を繰り返してしまうパターンの例文ですね。

仕事や学校のレポートで、締め切り間際になって慌てて徹夜で仕上げた経験は、多くの人が持っているのではないでしょうか。

そのときは「次こそは早めに取り掛かろう!」と強く心に誓うのに、時間が経つとその苦労をすっかり忘れて、また同じように締め切り間際まで放置してしまう…。

まさに「喉元過ぎれば熱さを忘れる」状態です。

この例文は、自分自身の行動パターンを反省したり、他人に対して「また同じことを繰り返しているよ」と指摘したりするときに使えます。

2:「病気で入院していたときは家族や友人に感謝していたのに、退院したらすっかり連絡もしなくなって、喉元過ぎれば熱さを忘れるとはこのことだ」

これは、苦しいときに受けた恩を忘れてしまうパターンの例文です。

病気や困難に直面しているとき、周囲の人の支えがどれだけありがたいか、身に染みて感じますよね。

しかし、状況が良くなって元気になると、その感謝の気持ちが薄れてしまい、お世話になった人への連絡もおろそかになってしまう…。

このような「恩知らず」な態度を戒める意味で使われる表現です。

人間関係において、困ったときだけ連絡してきて、状況が良くなると音沙汰がなくなる人を批判する際にも用いられます。

3:「コロナ禍で大変だったときの教訓を忘れず、喉元過ぎれば熱さを忘れるようなことにならないよう、今後に活かしたい」

この例文は、ことわざの教訓を肯定的に活用する使い方ですね。

2024年現在、新型コロナウイルスのパンデミックは落ち着きを見せていますが、あの困難な時期に学んだことを忘れないようにしようという文脈で使われています。

実際に、2024年9月の資料でも、このことわざが正月明けのコロナ禍の教訓を振り返る形で引用されているんですよ。

この使い方のポイントは、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ような状態に陥らないように気をつけようという予防的な意味合いで使っている点です。

自己啓発やビジネスシーンでも、過去の失敗や困難から学んだ教訓を忘れないための戒めとして活用できる表現なんです。

似た意味の「ことわざ」は?「類語」「言い換え」表現

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と似た意味を持つことわざや表現を見ていきましょう。微妙なニュアンスの違いも理解すると、より豊かな表現ができるようになりますよ。

雨晴れて笠を忘る(あめはれてかさをわする)

このことわざは、雨が降っているときは傘を大切にするけれど、雨が上がってしまえば傘の存在を忘れてしまうという意味です。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と非常に似ていますが、こちらは特に困難なときに助けてくれた人や物の恩を忘れるという側面が強調されています。

雨という困難が去ったら、自分を守ってくれた笠(傘)のことを忘れてしまう…まさに恩知らずな行動を表現する言葉ですね。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」が苦痛や失敗の記憶が薄れることも含むのに対し、「雨晴れて笠を忘る」は恩義を忘れることにより焦点が当たっている点が違いです。

暑さ忘れて蔭忘る(あつさわすれてかげわする)

これも同じく、暑い日に木陰で涼んだことを、涼しくなったら忘れてしまうという意味のことわざです。

構造的には「雨晴れて笠を忘る」とよく似ていて、苦しいとき(暑いとき)に助けてくれたもの(木陰)の恩を、楽になったら忘れてしまうという人間の性質を指摘しています。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」よりも、やや古風な表現で、現代ではあまり使われなくなっていますが、意味は共通しています。

日本のことわざには、このように自然現象や日常の経験を通じて、恩を忘れる人間の弱さを戒める表現が多いのが特徴的ですね。

魚を得て籃を忘る(うおをえてかごをわする)

このことわざは少し趣が異なり、魚を捕まえることができたら、それを捕まえるための籠(かご)の存在を忘れてしまうという意味です。

元々は中国の古典『荘子』に由来する言葉で、目的を達成したら手段を忘れるという意味合いが強いことわざです。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」との共通点は、目的達成後や困難克服後に、それまでの過程や助けを忘れてしまうという点ですね。

ただし、「魚を得て籃を忘る」は哲学的な含みもあり、「目的達成後は手段にこだわらない」という肯定的な意味で使われることもあります。この点が「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とは異なる部分です。

危機一髪(ききいっぱつ)

厳密には同義語ではありませんが、危険な状況をギリギリで回避したという文脈で、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と関連して使われることがあります。

「危機一髪の状況を経験したはずなのに、喉元過ぎれば熱さを忘れるで、また同じような危険な行動をしている」というように、組み合わせて使うこともできます。

危機的状況の記憶が薄れることを強調したいときに、両方の表現を活用すると効果的ですね。

「対義語」は?

次に、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と反対の意味を持つことわざや表現を見ていきましょう。

懲りる(こりる)/懲りずに

ことわざではありませんが、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の対義的な状態を表す言葉として「懲りる」があります。

「あの失敗に懲りて、二度と同じことはしないようにしている」というように使います。

過去の苦い経験をしっかりと記憶に留め、同じ過ちを繰り返さないよう注意している状態ですね。

一方、「懲りずに」という表現は、逆に「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と似た意味になります。「失敗したのに懲りずにまた同じことをしている」というように、学習しない様子を表すんです。

言葉の使い方によって、対義にも類義にもなる興味深い表現です。

前車の轍を踏まず(ぜんしゃのてつをふまず)

このことわざは、先に失敗した人の轍(わだち)を踏まないように、過去の失敗を教訓として同じ過ちを避けるという意味です。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」が過去の苦労を忘れて同じ失敗を繰り返すことを指すのに対し、「前車の轍を踏まず」は過去の失敗(自分のものでも他人のものでも)をしっかり記憶して、同じ過ちを避けるという積極的な姿勢を表しています。

まさに正反対の態度を示すことわざですね。

ビジネスシーンでは、「前車の轍を踏まないよう、過去のプロジェクトの失敗事例を分析しましょう」のように使われます。

石橋を叩いて渡る(いしばしをたたいてわたる)

このことわざは、頑丈な石の橋であっても念入りに安全を確認してから渡るという、非常に慎重な姿勢を表します。

過去の経験から学び、常に用心深く行動する態度は、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という無防備な状態とは対照的です。

「あの失敗以来、彼は石橋を叩いて渡るようになった」というように、苦い経験を忘れずに慎重になった状態を表現するときに使えます。

ただし、あまりにも慎重すぎて前に進めなくなることを皮肉る意味でも使われることがあるので、文脈に注意が必要です。

「英語」で言うと?

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」を英語で表現する方法もいくつかあります。国際的なコミュニケーションでも使える表現を見ていきましょう。

Danger past, God forgotten(危険が去れば、神を忘れる)

これは「喉元過ぎれば熱さを忘れる」に最も近い英語のことわざです。

意味は、危険な状況にあるときは神に祈るけれど、危険が去ったら神への感謝を忘れてしまうというものです。

西洋のキリスト教文化を背景とした表現で、困ったときだけ神に頼り、助かったら感謝を忘れるという人間の身勝手さを指摘しています。

構造的には日本のことわざと全く同じで、「危険」が「熱さ」に、「神」が「苦痛の記憶」に対応していますね。

ビジネス英語でも使える表現で、"We shouldn't be like 'Danger past, God forgotten.' Let's remember the lessons we learned."(「危険が去れば神を忘れる」ようであってはいけない。学んだ教訓を忘れないようにしよう)のように活用できます。

Once on shore, we pray no more(岸に上がれば、もう祈らない)

こちらも似た意味の英語表現で、船が無事に岸に着いたら、航海中の祈りを忘れてしまうという意味です。

海洋国家であるイギリスなどで使われる表現で、危険な航海中は神に祈っているのに、無事に陸地に着いたらその感謝を忘れてしまう様子を表しています。

「Danger past, God forgotten」と同じく、苦難が去ったら恩を忘れる人間の性質を指摘する表現ですね。

日本のことわざと比べると、西洋の表現は「神」や「祈り」といった宗教的要素が入っているのが特徴的です。

Out of sight, out of mind(目の前から消えれば、心からも消える)

この表現は、目に見えなくなったものは、心からも忘れてしまうという意味です。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とは少しニュアンスが異なりますが、「過ぎ去ったことを忘れる」という点で共通しています。

主に、遠く離れた人や物への愛情や関心が薄れることを表現する際に使われますが、困難が去ったら記憶も薄れるという文脈でも使えます。

"Don't let the lessons be out of sight, out of mind."(教訓を忘れ去ってしまわないように)というように、警告の意味で使うこともできますね。

ビジネスの場面では、「プロジェクトが終わったら関係者への感謝を忘れないように」という文脈で"Let's not fall into 'out of sight, out of mind' when it comes to our stakeholders."のように使えます。

まとめ

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」は、苦しい経験や困難が過ぎ去ると、その痛みや苦労を簡単に忘れてしまう人間の性質を表す日本の伝統的なことわざです。

また、苦しいときに受けた恩を、状況が良くなると忘れてしまう「恩知らず」な態度を戒める意味も持っています。

由来は、熱い飲み物が喉を通り過ぎれば熱さを忘れてしまうという日常的な経験から来ており、江戸時代から使われてきた歴史あることわざなんですね。

使い方としては、次のようなパターンがあります。

  • 同じ失敗を繰り返す人への指摘や自己反省
  • 困難時の恩を忘れる態度への批判
  • 過去の教訓を忘れないための戒め

過去の苦い経験を完全に忘れてしまうのは問題ですが、逆に囚われすぎても前に進めません。大切なのは、教訓として心に留めながらも、新しいチャレンジを恐れないバランス感覚なんですね。

2024年現在も、コロナ禍の教訓を振り返る文脈などで活発に使われており、時代を超えて私たちに大切なことを教えてくれることわざです。

日常会話でもビジネスシーンでも使える表現ですので、ぜひ適切な場面で活用してみてくださいね。そして何より、自分自身が「喉元過ぎれば熱さを忘れる」状態に陥らないよう、大切な経験や感謝の気持ちを心に刻んでいきましょう!

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