
「親の心子知らず」ということわざ、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。親子の関係を表す言葉として、日常会話でもよく使われているんですね。でも、いざ「正確な意味は?」と聞かれると、ちょっと困ってしまうこともあるかもしれませんね。
このことわざには、親の深い愛情と、それに気づかない子どもの姿が込められているんです。実は室町時代から伝わる古い言葉で、現代でも多くの親御さんが共感する内容なんですね。
この記事では、「親の心子知らず」の意味から由来、実際の使い方まで、わかりやすくご紹介していきます。例文や類語、対義語、さらには英語表現まで網羅的に解説しますので、きっとこのことわざへの理解が深まるはずですよ。
「親の心子知らず」を理解するための基礎知識

読み方
「親の心子知らず」は、「おやのこころこしらず」と読みます。
特に難しい読み方ではないので、読み間違えることは少ないかもしれませんね。リズムよく読めることわざなので、一度覚えてしまえばすぐに使えるようになりますよ。
意味
「親の心子知らず」とは、親が子どものために深い愛情や心配を抱いているのに、子どもはその気持ちを理解せず、勝手気ままに振る舞う様子を表すことわざです。
親は子どものことを一生懸命考えて、あれこれと心配したり、将来のことを思って注意したりしますよね。でも、子どもはそんな親の気持ちに気づかないで、反発したり、無頓着に自分のやりたいことだけをしてしまう。そんな親子のすれ違いを表現した言葉なんですね。
このことわざには、子どもを軽く叱るというニュアンスも含まれているんです。「あなたは親の気持ちがわかっていないよ」という、優しい注意の意味合いがあるんですね。
興味深いのは、子どもが親になって初めて、親の心に気づくという含意があることです。自分が親の立場になって初めて、「ああ、あの時の親の気持ちはこういうことだったんだ」と実感する。そんな経験は、多くの人に共通しているのではないでしょうか。
語源と由来
「親の心子知らず」の由来は、室町時代の軍記物『義経記』に遡ります。
この古典作品の中で、武蔵坊弁慶が主君である源義経に対して、こんな言葉を語っているんです。「あはれや殿、おやのこころを子しらずとて、人の心は知り難し」。
この台詞が、現代に伝わる「親の心子知らず」ということわざの元になったとされているんですね。室町時代から使われていた言葉が、何百年も経った今でも人々の共感を呼んでいるなんて、すごいことだと思いませんか?
『義経記』は源義経の一生を描いた物語で、弁慶と義経の主従関係を通して、人の心の機微が描かれているんです。この作品の中で語られた言葉が、時代を超えて親子関係を表すことわざとして定着したわけですね。
もともとは主従関係の文脈で使われていた言葉が、親子関係に当てはめられるようになったというのも興味深いポイントです。実は現代でも、親子関係だけでなく、師弟関係や上司と部下の関係など、さまざまな場面で使われることがあるんですよ。
「使い方」がわかる「例文」3選

1:「息子に将来のために勉強しなさいと言っても聞く耳を持たず、まさに親の心子知らずだ」
この例文は、子育て中の親御さんなら誰もが経験するような状況を表していますよね。
親は子どもの将来を心配して、勉強の大切さを伝えようとします。でも、子どもにとっては「今」が大切で、将来のことはまだ実感できないんですね。だから親の言葉を素直に受け取れず、反発してしまうこともあるわけです。
このような場面で「親の心子知らず」ということわざを使うと、親の切ない気持ちと、子どもの無理解な態度の両方が表現できます。
ただ、この言葉には強い非難の意味はなくて、「いつか分かってくれる日が来るだろう」という期待も込められているんですね。きっと多くの親御さんが、こんな思いを抱いた経験があるのではないでしょうか。
2:「先生のアドバイスを無視して失敗するなんて、親の心子知らずもいいところだ」
この例文では、師弟関係でこのことわざが使われているんですね。
「親の心子知らず」は、実は親子関係だけでなく、指導する立場と指導される立場のあらゆる関係に当てはめることができるんです。先生と生徒、上司と部下、師匠と弟子など、さまざまな場面で使えるんですよ。
この例文の場合、先生が生徒のことを思ってアドバイスしているのに、それを聞かずに失敗してしまったという状況を表しているんですね。指導者の気持ちを理解できなかった、という意味が込められています。
このように、「親の心子知らず」は広い意味での「目上の人の思いやり」と「それに気づかない立場」の関係を表現できる便利なことわざなんですね。
3:「自分が親になって初めて、あの時の親の気持ちが分かった。まさに親の心子知らずだったな」
この例文は、過去を振り返って自分自身に対して使っているパターンですね。
子どもの頃は親の言うことが理解できなくて、「うるさいな」「余計なお世話だ」なんて思っていたこと、ありませんでしたか?でも、自分が親になってみると、当時の親の気持ちが痛いほどよく分かる。そんな経験をした方は多いのではないでしょうか。
このような自己反省や気づきを表現する際にも、「親の心子知らず」ということわざは効果的なんですね。SNSやブログなどでも、「親になって初めて分かった」という文脈でこのことわざが使われることが増えているんですよ。
この使い方には、かつての自分への軽い自戒と、親への感謝の気持ちが込められているんですね。大人になって初めて理解できる親の愛情の深さを、シンプルに表現できる言葉なんです。
似た意味の「ことわざ」は?「類語」「言い換え」表現
親の思うほど子は思わぬ
「親の思うほど子は思わぬ」は、「親の心子知らず」とほぼ同じ意味を持つことわざですね。
親は子どものことをいつも心配して、あれこれと考えているものです。でも、子どもは親が思っているほどには親のことを考えていない、という親子間の温度差を表現しているんですね。
「親の心子知らず」との違いは、こちらの方がより客観的に状況を描写しているという点でしょうか。「親の心子知らず」には子どもを軽く叱るニュアンスがありますが、「親の思うほど子は思わぬ」は、親子関係の自然な在り方を淡々と述べている感じがしますね。
両方とも親子のすれ違いを表現していますが、使う場面によって使い分けることができるんですよ。
子を持って知る親の恩
「子を持って知る親の恩」は、自分が親になって初めて、親の恩や苦労が理解できるという意味のことわざです。
これは「親の心子知らず」と関連が深い表現ですね。「親の心子知らず」が子どもの無理解を指摘する言葉だとすれば、「子を持って知る親の恩」は、その無理解がいつか理解に変わる瞬間を表現しているんです。
実際、多くの人が自分の子どもを持って初めて、「ああ、親ってこんなに大変だったんだ」「こんなに心配していたんだ」と気づくものですよね。そんな気づきの瞬間を表す言葉として、このことわざは使われるんですね。
「親の心子知らず」が現在進行形の状況を表すのに対して、「子を持って知る親の恩」は過去を振り返る視点から語られることが多いという違いがありますよ。
親思う心に勝る親心
「親思う心に勝る親心」は、子どもが親を思う気持ち以上に、親が子どもを思う気持ちの方がはるかに深いという意味のことわざです。
このことわざは、親の愛情の深さと無償性を強調する表現なんですね。子どもがどれだけ親を思っていても、親の愛情にはかなわない。そんな親の深い愛を讃える言葉として使われます。
「親の心子知らず」との共通点は、どちらも親の深い愛情を前提にしているという点です。ただ、「親の心子知らず」が子どもの無理解に焦点を当てているのに対して、「親思う心に勝る親心」は親の愛情の大きさそのものを讃えているんですね。
感謝の気持ちを表現したいときや、親の愛情の素晴らしさを伝えたいときには、こちらのことわざがぴったりかもしれませんね。
「対義語」は?
子の心親知らず
「子の心親知らず」は、「親の心子知らず」の対義語として使われることわざです。
これは、親が子どもの本当の気持ちや考えを理解できていない、という意味なんですね。「親の心子知らず」が「子どもが親の気持ちを分からない」のに対して、「子の心親知らず」は「親が子どもの気持ちを分からない」という逆の状況を表しているわけです。
親は子どものことを一番よく知っていると思いがちですが、実は子どもの本心や悩みに気づいていないことも多いんですよね。親の一方的な愛情や心配が、子どもの本当の気持ちとずれているという状況を指摘する言葉として使われます。
この二つのことわざを合わせて考えると、親子間のコミュニケーションの難しさがよく分かりますよね。お互いに思いやっているのに、その気持ちがすれ違ってしまう。そんな親子関係の複雑さを表現しているんですね。
親の言うことには従うべし
「親の言うことには従うべし」という表現は、親の意見や指導を素直に聞くべきだという教訓を表す言葉ですね。
これは「親の心子知らず」とは対照的な態度を示しています。「親の心子知らず」が親の気持ちを理解せず勝手に振る舞う様子を表すのに対して、こちらは親の言葉に耳を傾ける姿勢を推奨しているんです。
もちろん、現代では「親の言うことに盲目的に従うべき」という考え方は少し古いかもしれませんね。でも、親の経験や知恵を尊重するという意味では、今でも大切な考え方だと言えるのではないでしょうか。
親孝行
「親孝行」は、親を大切にして、その恩に報いることを意味する言葉ですね。
これは行動や態度を表す言葉ですが、「親の心子知らず」の対義的な概念と言えるんです。親の気持ちを理解せず勝手に振る舞う「親の心子知らず」とは反対に、親の気持ちをよく理解して、親を大切にする態度が「親孝行」なんですね。
「親の心子知らず」だった人が、親の気持ちに気づいて「親孝行」をするようになる。そんな成長のストーリーは、多くの人の人生で見られるパターンかもしれませんね。
親孝行ができるうちにしておくことの大切さは、「親の心子知らず」ということわざを通して、より深く理解できるのではないでしょうか。
「英語」で言うと?
It is a wise child that knows its own father.(自分の父親を知るのは賢い子だけである)
この英語表現は、「親の心子知らず」に最も近い意味を持つ英語のことわざとされているんですね。
直訳すると「自分の父親を知るのは賢い子だけである」となりますが、これは「親の気持ちや価値を理解できる子どもは少ない」という意味を含んでいるんです。つまり、親の心を理解するのは難しく、それができる子どもは賢いということを表現しているわけですね。
この表現は、シェイクスピアの時代から使われている古い英語のことわざなんですよ。西洋でも東洋でも、親子間のすれ違いは普遍的なテーマだったということが分かりますよね。
ビジネスシーンや留学先などで、このことわざを使うと、教養のある表現として評価されるかもしれませんね。
Children don't understand their parents' feelings.(子どもは親の気持ちを理解しない)
この表現は、よりシンプルで現代的な言い方ですね。
「親の心子知らず」の意味をそのまま英語で伝えたい場合には、このように直接的に表現することもできるんです。ことわざとしての格調は少し下がるかもしれませんが、意味は確実に伝わりますよね。
日常会話や説明的な文脈では、こちらの方が使いやすいかもしれません。「My children don't understand my feelings.(私の子どもは私の気持ちを理解してくれない)」のように、個人的な経験を語る際に使うこともできますよ。
Parents' love is wasted on children.(親の愛は子どもには無駄になる)
この表現は、親の愛情が子どもに十分に伝わらないというニュアンスを含んでいますね。
少し悲観的に聞こえるかもしれませんが、「親の心子知らず」の持つ「親の思いが子どもに届かない」という切なさをよく表現しているんです。"wasted"(無駄になる)という言葉が、親の気持ちのすれ違いを強調していますね。
ただし、この表現は日本語の「親の心子知らず」よりもやや強い表現なので、使う場面には注意が必要かもしれません。親子関係について深く語り合うような場面では効果的な表現と言えるでしょう。
まとめ
「親の心子知らず」ということわざについて、詳しく見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
このことわざは、親が子どもを思う深い愛情と、それに気づかない子どもの姿を表現した言葉でしたね。室町時代の『義経記』に由来する古い言葉ですが、現代でも多くの親御さんが共感する内容なんです。
大切なポイントをまとめると、こんな感じですね。
- 親の深い愛情や心配が子どもに伝わらない様子を表す
- 子どもを軽く叱る際に使われる優しい表現
- 親になって初めて親の気持ちが分かる、という含意がある
- 親子関係だけでなく、師弟関係などにも使える
- 対義語として「子の心親知らず」がある
親子間のコミュニケーションは、いつの時代も簡単ではないものです。でも、このことわざを知ることで、親の立場、子どもの立場、両方の気持ちを理解するヒントになるかもしれませんね。
もし今、親の言葉が理解できないと感じている方がいたら、いつか「あの時の親の気持ちはこういうことだったんだ」と気づく日が来るはずです。そして、もし親の立場で「子どもが分かってくれない」と感じている方がいたら、子どもはいつか必ず理解してくれる日が来ると信じてあげてくださいね。
「親の心子知らず」という言葉を通して、親子の絆の深さや大切さを改めて感じていただけたら嬉しいです。ぜひ日常会話でも使ってみてくださいね。