ことわざ

「巧言令色鮮なし仁」の意味や由来とは?例文でわかりやすく解説!

「巧言令色鮮なし仁」という言葉、一度は耳にしたことがあるかもしれませんね。なんとなく響きは知っているけれど、正確な意味や使い方を説明するとなると、ちょっと迷ってしまいますよね。この言葉は中国の古典『論語』に由来する、とても深い教訓を含んだ表現なんです。

実は、私たちの周りにも「口が上手い人」や「いつも愛想がいい人」っていますよね。でも、そんな人が必ずしも信頼できるとは限らない。そんな人間関係の本質を見抜く知恵が、この言葉には詰まっているんですね。

この記事では、「巧言令色鮮なし仁」の意味や由来、実際の使い方を例文とともにご紹介していきます。類語や対義語、さらには英語表現まで網羅的に解説しますので、きっとこの言葉への理解が深まるはずですよ。

「巧言令色鮮なし仁」を理解するための基礎知識

「巧言令色鮮なし仁」を理解するための基礎知識

読み方

「巧言令色鮮なし仁」は「こうげんれいしょくすくなしじん」と読みます。

少し長い言葉なので、初めて目にする方は読み方に戸惑うかもしれませんね。特に「鮮なし」の部分は「すくなし」と読むのですが、現代ではあまり使われない古い日本語表現なので、「せんなし」と読み間違えてしまう方もいるかもしれません。でも、これは「少ない」という意味の古語なんですね。

また、「令色」を「れいしょく」と読むのも覚えておくポイントです。「りょうしょく」ではありませんので、注意してくださいね。

意味

「巧言令色鮮なし仁」とは、言葉巧みに人に媚び、表情を取り繕うような人には、真の思いやりの心(仁)がほとんどないという意味です。

もう少し詳しく見ていきましょう。「巧言」というのは、お世辞や口先だけの巧みな言葉のこと。「令色」は、作り笑顔や人に媚びるような表情を指します。そして「鮮なし」は「ほとんどない」「乏しい」という意味なんですね。

つまり、表面的な言葉や態度だけで人を惹きつけようとする人は、本当の誠実さや思いやりの心が欠けているということを警告しているんです。現代風に言えば、「八方美人で口が上手い人ほど、信用できない」といった感じでしょうか。

きっと、皆さんの周りにもいませんか?いつもニコニコしていて、誰にでも気持ちのいい言葉をかけるけれど、なんだか薄っぺらく感じる人。この言葉は、そういった人物像を的確に表現しているんですね。

語源と由来

「巧言令色鮮なし仁」の由来は、中国の古典『論語』にあります。これは、紀元前5世紀頃の中国の思想家である孔子の教えをまとめた書物なんですね。

実はこの言葉、『論語』の中に二度も登場するんです。一度目は「学而(がくじ)」篇、二度目は「陽貨(ようか)」篇。同じ句が繰り返し出てくるということは、孔子がそれだけ重要視していた教訓だということがわかりますよね。

原文では「子曰、巧言令色、鮮矣仁」と書かれています。「子曰」というのは「先生(孔子)がおっしゃった」という意味ですね。

孔子が生きた時代は、春秋戦国時代という混乱期でした。多くの国が争い、権力闘争が激しかった時代です。そんな中で、口先だけで人を欺こうとする人や、自分の利益のために表面的な態度を取る人が多かったんでしょうね。

孔子は「仁」という概念を非常に大切にしていました。「仁」とは、思いやりの心、人としての誠実さ、人間性の根本といった意味を持つ、孔子思想の中核となる概念なんです。だからこそ、表面だけを飾る人々に対して、「そこには仁がない」と厳しく指摘したんですね。

また、『論語』の「公冶長(こうやちょう)」篇では、「巧言令色足恭(こうげんれいしょくそくきょう)」という表現も出てきます。これは「言葉を飾り、顔色を作り、過度に恭しい態度を取ることは恥ずべきことだ」という意味。孔子が一貫して、外見だけの人間性を戒めていたことがよくわかりますよね。

「使い方」がわかる「例文」3選

「使い方」がわかる「例文」3選

1:「あの営業マンは巧言令色鮮なし仁だから、契約には慎重になった方がいいよ」

この例文は、ビジネスシーンでよく使われる場面ですね。

営業マンの中には、言葉巧みで愛想がよく、一見すると信頼できそうに見える人もいますよね。でも、契約内容をよく確認してみると、実は消費者にとって不利な条件が隠されていたり、約束したことを守らなかったりするケースもあるんです。

この例文では、表面的な態度に惑わされず、本質を見極める必要性を伝えているんですね。特に大きな買い物や重要な契約を結ぶときには、相手の言葉や態度だけでなく、実際の中身をしっかりチェックすることが大切だと警告しているわけです。

「口が上手い人には気をつけて」という現代的な忠告として、とても実用的な使い方ですよね。

2:「彼は誰にでも媚びるように接していたが、巧言令色鮮なし仁で、本当の友人は一人もいなかった」

この例文は、人間関係における本質を表現していますね。

職場や学校、あるいは地域のコミュニティなど、どんな場所にも「八方美人」と呼ばれるような人っていませんか?誰に対しても愛想がよくて、その場その場で相手の機嫌を取るような態度をとる人。でも、よく観察してみると、そういう人は誰とも深い関係を築けていないことが多いんですよね。

この例文では、表面的な付き合いばかりで誠実さがない人は、結局誰からも信頼されないという教訓を伝えています。真の友情や信頼関係は、お世辞や作り笑顔からは生まれないということなんですね。

もしかしたら、私たち自身も時には「いい顔をしすぎていないか」と振り返ってみる必要があるかもしれませんね。

3:「最初は巧言令色鮮なし仁だと思っていたけれど、彼の誠実な行動を見て考えを改めた」

この例文は、少し違った使い方をしていますね。

人は第一印象だけで判断してしまいがちですよね。最初に愛想がいい人を見ると、「この人は表面だけかもしれない」と疑ってしまうこともあるかもしれません。でも、時間をかけて付き合ってみると、その人の本当の人柄が見えてくることもあるんです。

この例文では、最初は「巧言令色」に見えた人が、実は誠実な行動を伴っていたことで、評価が変わったという状況を表現しています。つまり、愛想のよさと誠実さは必ずしも相反するものではない、ということも教えてくれているんですね。

大切なのは、表面だけでなく、その人の行動や一貫性を見ること。この言葉は、単に「愛想のいい人を避けよ」と言っているのではなく、「表面だけでなく本質を見極めよ」という深い教訓なのかもしれませんね。

似た意味の「ことわざ」は?「類語」「言い換え」表現

口先三寸

「口先三寸(くちさきさんずん)」は、口先だけで実行が伴わないことを意味する言葉です。

「三寸」というのは約9センチメートルのこと。つまり、舌の長さ程度のわずかな口先だけで物事を済まそうとする様子を表しているんですね。口では立派なことを言うけれど、実際には行動しない人のことを指します。

「巧言令色鮮なし仁」と共通しているのは、言葉だけで誠実さがないという点ですね。ただし、「口先三寸」は主に「言行不一致」を指すのに対し、「巧言令色鮮なし仁」はさらに「媚びる態度」や「仁の欠如」という道徳的な側面まで含んでいるところが違いかもしれません。

羊の皮を着た狼

「羊の皮を着た狼(ひつじのかわをきたおおかみ)」は、外見は温厚に見えるが、内心は邪悪であることを意味する表現です。

これは聖書に由来する表現で、英語では「wolf in sheep's clothing」と言われますね。温厚そうに見える羊の姿をしていても、実は危険な狼であるという、見かけと中身の違いを警告しているんです。

「巧言令色鮮なし仁」との共通点は、外見や態度と本質が異なるという点ですね。どちらも表面的な印象に騙されないよう注意を促している言葉です。ただし、「羊の皮を着た狼」はより悪意や危険性を強調しているのに対し、「巧言令色鮮なし仁」は誠実さの欠如を指摘しているという違いがあるかもしれませんね。

口に蜜あり腹に剣あり

「口に蜜あり腹に剣あり(くちにみつありはらにつるぎあり)」は、言葉は甘いが、心の中では悪意を持っていることを意味します。

これは中国の唐の時代の宰相、李林甫(りりんぽ)のことを表した言葉だとされています。彼は表向きは優しく親切な言葉をかけるけれど、裏では人を陥れる計略を持っていたそうなんです。

「巧言令色鮮なし仁」と非常に近い意味を持っていますよね。どちらも表面的な優しさや愛想のよさと、内面の誠実さの欠如を対比させています。ただし、「口に蜜あり腹に剣あり」の方が、より積極的な悪意や謀略を示唆しているニュアンスが強いかもしれませんね。

猫を被る

「猫を被る(ねこをかぶる)」は、本性を隠して、おとなしそうに見せかけることを意味する表現です。

猫は可愛らしく見えますが、実は爪を隠し持っていますよね。そこから、表面的には従順で優しそうに振る舞いながら、本当の性格を隠している様子を表しているんです。

「巧言令色鮮なし仁」との共通点は、表面と本質の乖離を指摘している点ですね。ただし、「猫を被る」は必ずしも悪意があるわけではなく、単に本性を隠しているという意味で使われることもあります。一方、「巧言令色鮮なし仁」は誠実さや思いやりの欠如というより道徳的な問題を指摘しているという違いがありますね。

「対義語」は?

剛毅木訥仁に近し

「剛毅木訥仁に近し(ごうきぼくとつじんにちかし)」は、意志が強く、飾り気のない無口な人こそ、真の思いやりの心(仁)に近いという意味です。

これも『論語』からの言葉で、「巧言令色鮮なし仁」とセットで語られることが多いんですね。「剛毅」は強い意志、「木訥」は無骨で口下手なことを意味します。

孔子は、口先だけの人よりも、言葉は少なくても実直で誠実な人の方が、本当の仁の心を持っていると考えたんです。表面的な愛想のよさではなく、内面の誠実さこそが大切だという教えですね。

現代でも「無口だけど頼りになる人」っていますよね。そういう人こそが、本当に信頼できる人なのかもしれません。

言行一致

「言行一致(げんこういっち)」は、言ったことと行動が一致していることを意味する四字熟語です。

「巧言令色鮮なし仁」が口先だけで誠実さがない状態を批判しているのに対し、「言行一致」は言葉と行動が伴っている理想的な状態を表していますね。

私たちも、何かを約束したら必ず実行する、言ったことに責任を持つという姿勢が大切ですよね。それが信頼される人間になるための基本なのかもしれません。

誠心誠意

「誠心誠意(せいしんせいい)」は、真心を込めて物事に取り組むことを意味する四字熟語です。

これは「巧言令色鮮なし仁」とは正反対の態度ですよね。表面を飾るのではなく、心から誠実に人と接し、物事に向き合う姿勢を表しています。

「誠心誠意」で対応する人には、自然と信頼が集まるものです。お世辞や作り笑顔ではなく、本当の心からの対応こそが、人間関係の基礎になるんですね。

「英語」で言うと?

Fair words butter no parsnips(きれいな言葉ではパースニップにバターを塗れない)

この英語のことわざは、口先だけの言葉では何の役にも立たないという意味なんですね。

パースニップというのは西洋野菜の一種で、調理するときにバターを塗ることがあるそうです。つまり、「きれいな言葉を並べても、実際に料理の準備はできない」という比喩なんです。

「巧言令色鮮なし仁」と共通しているのは、言葉だけでは実がないという点ですね。実際の行動や誠実さが伴わなければ意味がないという教訓は、東洋でも西洋でも共通しているんですね。

Actions speak louder than words(行動は言葉よりも雄弁である)

これは英語圏でとてもよく使われる表現で、言葉よりも行動の方が人の本質を表すという意味です。

どんなに立派なことを言っても、実際の行動が伴わなければ意味がないということですね。逆に、多くを語らなくても、行動で示す人こそが信頼できるという考え方なんです。

「巧言令色鮮なし仁」が言葉や表情だけを飾る人を批判しているのと同じように、この英語表現も実際の行動こそが重要だと強調しているんですね。文化は違っても、人間の本質を見抜く知恵は共通しているんだなと感じますよね。

wolf in sheep's clothing(羊の皮を着た狼)

この表現は先ほど類語のところでも触れましたが、英語でも非常によく使われる表現なんです。

外見は善良そうに見えるけれど、実際には危険な人物を指す表現ですね。聖書のマタイによる福音書に由来する言葉で、偽りの預言者を警戒するために使われたとされています。

「巧言令色鮮なし仁」と同じように、表面的な印象と内面の本質が異なる人物への警告として使われます。東洋でも西洋でも、見かけに騙されないことの重要性は変わらないんですね。

まとめ

「巧言令色鮮なし仁」について、詳しく見てきましたがいかがでしたか?

この言葉は、2500年以上前の孔子の教えから生まれたものですが、現代にも十分通用する深い洞察を含んでいますよね。口先だけの人や表面的な態度だけで人を判断してはいけない、本当の誠実さや思いやりの心を大切にしようという教訓なんです。

ビジネスシーンでの営業マンの見極め、友人関係の構築、結婚相手の選び方など、私たちの日常生活のさまざまな場面で、この言葉の知恵を活かすことができそうですね。

もちろん、愛想がいい人すべてが信用できないというわけではありません。大切なのは、言葉や態度だけでなく、その人の実際の行動や一貫性を見ること。そして、私たち自身も口先だけの人にならないよう、言行一致を心がけ、誠心誠意で人と接することが重要なんですね。

「剛毅木訥仁に近し」という対義語が示すように、無口でも実直な人こそが信頼できるのかもしれません。表面的な魅力よりも、内面の誠実さを大切にする。それが、より良い人間関係を築くための第一歩になるはずです。

ぜひ、この「巧言令色鮮なし仁」という言葉を覚えて、日常生活の中で活用してみてくださいね。きっと、人を見る目が変わってくるかもしれませんよ。