
「金は天下の回り物」って、きっとどこかで聞いたことがありますよね。お金に困ったときや、逆にお金が入ってきたときに使われることが多いことわざなんですが、正確な意味を聞かれると「うーん、なんとなくはわかるけど…」と迷ってしまう方も多いかもしれませんね。
このことわざには、実は励ましの意味と戒めの意味、二つの側面があるんですね。今お金がなくて困っている人にとっては希望の言葉になりますし、今お金を持っている人にとっては謙虚さを思い出させてくれる言葉になります。そう考えると、とても奥深いことわざだと思いませんか?
この記事では、「金は天下の回り物」の意味や由来はもちろん、実際の使い方がわかる例文、似た意味の類語、反対の意味を持つ対義語、さらには英語での表現まで、網羅的にご紹介していきますね。きっとこのことわざの魅力を再発見できると思いますよ。
「金は天下の回り物」を理解するための基礎知識

読み方
「金は天下の回り物」は、「かねはてんかのまわりもの」と読みます。
漢字で書くとやや難しく見えますが、読み方自体はそれほど難しくありませんよね。ただし、「回り物」の部分を「まわしもの」と読んでしまうと意味が変わってしまうので、「まわりもの」と正しく読むことが大切なんですね。
ちなみに、表記する際には「回り物」が正しい表記です。「周り物」や「回し者」と書くのは誤りですので、書くときは注意してくださいね。
意味
「金は天下の回り物」は、お金は一つの場所にとどまるものではなく、世の中をぐるぐると巡り続けるものだという意味のことわざです。
売買や投資、納税、寄付、給料の支払いなど、さまざまな形で人から人へとお金は移動していきますよね。今日あなたが支払ったお金は、誰かの収入になり、その誰かがまた別の人に支払い…という風に、お金は社会の中を循環し続けているんですね。
このことわざには、実は二つの解釈があるんです。
- 励ましの意味:今はお金がなくても、そのうちあなたのところにも巡ってくるから心配しなくて大丈夫
- 戒めの意味:今はお金があっても、いつ失うかわからないから油断してはいけない、無駄遣いは控えよう
面白いのは、同じことわざなのに、お金がない人にとっては希望の言葉に聞こえて、お金がある人にとっては注意の言葉に聞こえるところですよね。まさにお金の流動性を表す、バランスの取れた言葉だと思いませんか?
語源と由来
「金は天下の回り物」の明確な起源ははっきりしていないのですが、1906年から1908年にかけて記された『日本俚諺大全』という文献に既に登場しているとされています。つまり、明治時代にはもう広く知られていたことわざだったんですね。
もしかしたら、もっと古くから民間で言い伝えられてきた可能性もあるかもしれませんね。江戸時代には商業が発展し、お金が社会を循環する仕組みが整っていましたから、その頃の商人たちの間で生まれた言葉なのかもしれません。
このことわざの背景には、日本人の「お金に対する独特の価値観」が反映されているように感じられますよね。お金を溜め込むことだけを良しとするのではなく、お金は巡るものだという考え方は、どこか仏教的な無常観にも通じるものがあるかもしれません。
また、天下という言葉を使っているところも興味深いですよね。お金は個人のものではなく、社会全体を巡る公共的なものだという認識が込められているのかもしれませんね。
「使い方」がわかる「例文」3選

1:「今月は出費が多くて大変だけど、金は天下の回り物って言うし、いつかきっといいこともあるさ」
これは励ましの意味で使っている例文ですね。
出費が重なって財布の中身が寂しくなってしまった時、誰もが経験することですよね。そんな時に「金は天下の回り物」という言葉は、ちょっとした希望を与えてくれるんですね。
今はお金が出ていく一方でも、いつかはあなたのところにもお金が巡ってくるはずだから、あまり落ち込まないで前向きにいこう、という気持ちの切り替えに使える表現なんです。友人を励ます時や、自分自身を奮い立たせる時にも使えますよね。
2:「このボーナスで高級時計を買おうかな。でも金は天下の回り物っていうし、無駄遣いせずに貯金しておこう」
こちらは戒めの意味で使っている例文です。
臨時収入があったり、ボーナスが入ったりすると、ついつい気が大きくなって散財したくなりますよね。わかります、その気持ち。でも、そんな時に「金は天下の回り物」と思い出すことで、今あるお金もいつかは出ていくものだから、大切に使おうという自制心が働くんですね。
この使い方では、お金の流動性を意識することで、計画的な金銭管理を心がけるきっかけになっているわけです。
3:「彼が事業で成功したのは素晴らしいけど、金は天下の回り物だからね。謙虚さを忘れずにいてほしいよ」
これは第三者について話す時の例文ですね。
誰かが成功してお金を手に入れた時、周囲の人がこの言葉を使うことがあります。もちろん嫉妬や妬みの意味ではなく、むしろ心からの忠告や願いが込められているんですね。
お金は巡るものだから、今は自分のところにあっても永遠ではない、だからこそ謙虚でいることが大切だよ、というメッセージが込められているわけです。きっと言われた本人も、このことわざを聞くことで、足元を見つめ直すきっかけになるかもしれませんね。
似た意味の「ことわざ」は?「類語」「言い換え」表現
金は湧き物
「金は湧き物」(かねはわきもの)は、お金は泉のように湧いて出てくるもので、今はなくても心配する必要はないという意味のことわざです。
「金は天下の回り物」と似ていますが、こちらはより楽観的なニュアンスが強いんですね。「回り物」が循環を強調しているのに対して、「湧き物」は自然に湧いてくるイメージですから、どちらかというと「心配しなくても大丈夫」という励ましの側面が強い表現だと言えるでしょう。
ただし、この言葉も浪費を推奨しているわけではありませんので、使い方には注意が必要ですよね。
金銀は回り持ち
「金銀は回り持ち」(きんぎんはまわりもち)は、お金や財産は、ある人のところに永久にとどまるものではなく、回り回って別の人のものになるという意味です。
これは「金は天下の回り物」とほぼ同じ意味ですね。ただし「金銀」という言葉を使うことで、より貴重な財産全般を指している印象があります。
また「回り持ち」という表現が、みんなで順番に持つというニュアンスを含んでいて面白いですよね。まるで富は社会全体で共有するものだという、ある種の平等思想が感じられるかもしれませんね。
金は浮き物
「金は浮き物」(かねはうきもの)は、お金は水に浮かぶように定まらないもので、あちこち移動するという意味のことわざです。
こちらも「金は天下の回り物」と似た意味を持っていますが、「浮き物」という表現が独特ですよね。水に浮かんでふわふわと移動するイメージは、お金の不安定さや予測不可能性をより強く表現しているように感じられます。
今日はこっちにあっても、明日はあっちに移動しているかもしれない、そんなお金の気まぐれな性質を表している言葉だと言えるでしょう。
果報は寝て待て
「果報は寝て待て」(かほうはねてまて)は、良い運は焦らずに、じっと待っていれば自然にやってくるという意味のことわざです。
お金に直接言及しているわけではありませんが、「金は天下の回り物」の励ましの側面と通じるものがありますよね。今は苦しくても、いつかは良いことがある、だから焦る必要はないという、穏やかで前向きなメッセージが込められています。
ただし、この言葉も「何もせずにただ待っていればいい」という意味ではなく、やるべきことはやった上で、結果を焦らず待つという意味ですので、誤解しないようにしたいですね。
「対義語」は?
金は片行き
「金は片行き」(かねはかたゆき)は、お金は持っている人のところにばかり集まり、持っていない人のところには来ないという意味のことわざです。
これは「金は天下の回り物」とは正反対の考え方ですよね。お金が平等に巡るのではなく、富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなるという、ある意味で現実的な経済の不平等性を表現している言葉なんですね。
現代の経済格差の問題を考えると、残念ながらこちらの方がリアルに感じられることもあるかもしれませんね。ただ、だからこそ「金は天下の回り物」という希望の言葉が大切なのかもしれません。
金と子供は片回り
「金と子供は片回り」(かねとこどもはかたまわり)は、お金も子供も、ある人のところには集まるが、ない人のところにはないという意味です。
これも「金は天下の回り物」の対義語として挙げられることわざですね。お金だけでなく子供(子孫)も含めて、人生の恵みは不平等に分配されるという、やや辛辣な現実を表現しているんです。
このことわざを聞くと、ちょっと悲しい気持ちになるかもしれませんが、だからこそ私たちは、持っているものに感謝し、持っていない人への思いやりを忘れないようにしたいものですよね。
貧すれば鈍する
「貧すれば鈍する」(ひんすればどんする)は、貧乏になると、心まで貧しくなり、賢い判断ができなくなるという意味のことわざです。
これは「金は天下の回り物」の楽観的な見方とは対照的に、貧困の悪循環を表現している言葉ですね。お金がないと精神的余裕も失われ、さらに悪い状況に陥ってしまうという、厳しい現実を指摘しているんです。
ただし、このことわざも単なる批判ではなく、「だからこそお金を大切にしよう」「貧しくならないよう計画的に生きよう」という教訓が込められていると考えることもできますよね。
「英語」で言うと?
Money comes and goes.(お金は来たり去ったりする)
"Money comes and goes."は、「金は天下の回り物」に最も近い英語表現だと言えるでしょう。
直訳すると「お金は来たり去ったりする」となりますが、まさにお金の流動性を表現していますよね。シンプルな表現ながら、お金は一箇所にとどまらないという本質を捉えているんですね。
英語圏でも、この表現は励ましの言葉として使われることが多いようです。「今はお金がなくても大丈夫、また入ってくるよ」という前向きなニュアンスで使われるんですね。
Easy come, easy go.(簡単に来たものは簡単に去る)
"Easy come, easy go."は、よく使われる英語の慣用句です。
直訳すると「簡単に来たものは簡単に去る」となり、こちらは「金は天下の回り物」の戒めの側面に近い表現かもしれませんね。苦労せずに手に入れたお金は、あっという間になくなってしまうという意味が込められています。
たとえば、宝くじで大金を手に入れた人が、すぐに使い果たしてしまったような場面で使われる表現です。軽く手に入ったお金は軽く出ていく、だから大切に使おうという教訓が込められているんですね。
What goes around comes around.(巡ったものは戻ってくる)
"What goes around comes around."は、因果応報を表す英語の表現として有名ですね。
直訳すると「巡ったものは戻ってくる」となり、これも「金は天下の回り物」と通じる部分があります。ただし、この表現はお金に限らず、善行も悪行も最終的には自分に返ってくるという、より広い意味で使われることが多いんですね。
お金の文脈で使えば、「今あなたが他人に分け与えたお金は、いつかあなたに戻ってくる」という意味になりますし、「今他人から奪ったお金も、いつかあなたから奪われる」という意味にもなります。カルマの法則とも言えるかもしれませんね。
まとめ
「金は天下の回り物」は、お金は一箇所にとどまらず、世の中を巡り続けるものだという意味のことわざでしたね。
このことわざの素晴らしいところは、励ましと戒めの両方の意味を持っているところだと思います。お金がない時には希望を与えてくれて、お金がある時には謙虚さを思い出させてくれる、本当にバランスの取れた言葉ですよね。
由来は明治時代まで遡ることができ、長い間日本人に親しまれてきた言葉だということもわかりました。類語として「金は湧き物」や「金銀は回り持ち」、対義語として「金は片行き」などがあり、それぞれ微妙にニュアンスが異なるのも興味深いですよね。
現代社会でも、経済格差や金銭管理について考える時、この「金は天下の回り物」という言葉は私たちに大切なことを教えてくれるんですね。お金に執着しすぎず、かといって軽視もせず、適切に向き合う姿勢が大切だということでしょう。
お金に困った時は「いつかは巡ってくる」と前向きに、お金が入った時は「いつかは出ていく」と謙虚に。そんな心の持ち方を思い出させてくれることわざとして、ぜひ日常会話の中で使ってみてくださいね。きっと、あなた自身の心も軽くなるかもしれませんよ。