
「溺れる者は藁をも掴む」ということわざを聞いたことはありますよね。
なんとなく危機的な状況を表している言葉だとはわかるけれど、正確な意味や使い方を説明してと言われたら、ちょっと迷ってしまうかもしれませんね。
このことわざは、私たちが切羽詰まった状況でどんな行動をとるのかを的確に表現しているんですね。
気になりますよね、どうして「藁」なのか、どんな場面で使えるのか。
この記事では、「溺れる者は藁をも掴む」の意味や由来、使い方の例文、類語や対義語、さらには英語表現まで、網羅的にわかりやすく解説していきますね。
きっと読み終わるころには、このことわざを日常会話で自然に使えるようになっているはずですよ。
「溺れる者は藁をも掴む」を理解するための基礎知識

読み方
まずは読み方から確認しましょう。
「溺れる者は藁をも掴む」は、「おぼれるものはわらをもつかむ」と読むんですね。
読み間違いやすいポイントとしては、「溺れる」を「できれる」と読んでしまわないように注意が必要かもしれませんね。
また、「掴む」は「つかむ」と読みます。「つかむ」という言葉自体は日常的に使うので、こちらは大丈夫ですよね。
意味
「溺れる者は藁をも掴む」の意味は、切羽詰まった危機的状況に陥った人は、頼りにならないようなものでも必死にすがろうとするということなんですね。
水に溺れている人が、本来であれば支えにならない藁(わら)であっても、必死につかもうとする様子を例えているんです。
冷静さを失って、わずかな希望にでも縋りたくなる人間の心理を表現していますよね。
このことわざが教えてくれるのは、人は本当に追い詰められると、普段なら見向きもしないような小さな可能性にさえすがろうとするということかもしれませんね。
それだけ人間の生存本能や、窮地を脱したいという思いは強いものなんです。
語源と由来
実はこのことわざ、日本で生まれた言葉ではないんですね。
気になりますよね、どこから来たのか。
元来はヨーロッパ起源の西洋のことわざとされています。
英語では「A drowning man will clutch at a straw.」(溺れる人は藁をつかむ)という表現があり、これが明治時代に日本に紹介されたんですね。
日本に入ってきた当初は、「水に溺れんとするときは蘆(あし)の葉にもすがらんとす」という訳で紹介されていたそうです。
でも、時代とともに日本語の感覚に合わせて、今の「溺れる者は藁をも掴む」という形で定着していったんですね。
藁が選ばれた理由は、その軽さと頼りなさにあるんです。
藁は非常に軽く、水に浮いたとしても人の体重を支えることはできませんよね。
つまり、「どう考えても助けにならないもの」の象徴として藁が使われているわけなんですね。
西洋でも東洋でも、人が絶望的な状況でどんな行動をとるかという観察は共通していたんですね。
それだけこのことわざが表す人間の心理は普遍的なものだと言えるかもしれません。
「使い方」がわかる「例文」3選

それでは、実際にどんな場面で使えるのか、例文を見ていきましょう。
きっと「なるほど、こういう使い方をするんだ」と理解が深まるはずですよ。
1:「事業が傾いて、わずかな希望にかけて新規事業に手を出すなんて、まさに溺れる者は藁をも掴むだね」
これはビジネスシーンでの使用例ですね。
会社の経営が厳しくなって、成功の見込みが薄い新しい事業に手を出してしまう状況を表現しているんです。
冷静に考えれば、リスクが高すぎたり、成功の可能性が低かったりするのに、追い詰められているから「それでもやってみよう」となってしまう心理。
わかりますよね、背に腹は代えられないという気持ちになってしまうこと。
このような場面で使うと、その判断が冷静さを欠いたものであるというニュアンスを伝えることができるんですね。
2:「畑仕事の人手が足りなくて、小学生の子どもにまで手伝ってもらうなんて、溺れる者は藁をも掴む状態だよ」
これは日常生活での使い方の例ですね。
本来であれば大人がやるべき重労働を、子どもに頼まざるを得ないほど切羽詰まっている状況を表しています。
子どもの力では十分な働きができないとわかっていても、誰か手伝ってくれる人がいないと回らない。
そんなときに、「頼りないかもしれないけれど、それでもお願いするしかない」という気持ちを表現できるんですね。
このことわざを使うことで、状況の深刻さと、少し自虐的な気持ちの両方を伝えることができますよね。
3:「投資話のリスクを理解しながらも全財産を投じてしまうのは、まさにA drowning man will clutch at a strawの状態だった」
こちらは英語表現を使った例文ですね。
危険だとわかっているのに、お金に困っているあまり、詐欺まがいの投資話に手を出してしまう状況を表しているんです。
冷静に考えれば「怪しい」と気づくはずなのに、経済的に追い詰められていると、わずかな可能性にかけてしまう。
そういった人間の弱さや、判断力が鈍ってしまう様子が伝わりますよね。
このように、「溺れる者は藁をも掴む」は、危機的状況での冷静さを欠いた行動を表現するときに使えるんですね。
ただし、本当に深刻な状況でのみ使うことがポイントですよ。
似た意味の「ことわざ」は?「類語」「言い換え」表現
「溺れる者は藁をも掴む」と似た意味を持つことわざや表現は、いくつかあるんですね。
それぞれ微妙にニュアンスが違うので、使い分けられるようになると表現の幅が広がりますよ。
藁にもすがる(思い)
これは「溺れる者は藁をも掴む」を省略した形の表現ですね。
意味はほぼ同じで、どんなに頼りないものでも縋りたいほど切羽詰まった状態を表します。
「藁にもすがる思いで相談した」「藁にもすがる気持ちでお願いします」といった使い方をしますよね。
こちらの方が日常会話では使いやすいかもしれませんね。
ニュアンスの違いとしては、「溺れる者は藁をも掴む」がことわざとして状況を客観的に説明するのに対し、「藁にもすがる」は自分の気持ちを直接的に表現するときに使うことが多いんです。
背に腹は代えられぬ
これは「大切なものを守るためには、多少の犠牲は仕方がない」という意味のことわざですね。
切羽詰まった状況で、やむを得ず何かを犠牲にするという点では共通していますよね。
「溺れる者は藁をも掴む」が「頼りないものにすがる」ことに焦点を当てているのに対し、こちらは「犠牲を払ってでも重要なものを守る」という決断の側面を強調しているんですね。
たとえば「家族を守るためなら、プライドなんて背に腹は代えられない」といった使い方をします。
苦渋の決断をするときに使える表現かもしれませんね。
窮鼠猫を噛む(きゅうそねこをかむ)
これは「追い詰められた弱者でも、必死になれば強者に反撃することがある」という意味のことわざですね。
ネズミが猫に追い詰められて、逆に噛みつく様子から来ているんです。
「溺れる者は藁をも掴む」が「何にでもすがる」というニュアンスなのに対し、こちらは「追い詰められて反撃に出る」という能動的な行動を表しているんですね。
絶望的な状況という共通点はありますが、行動の質が違うと言えるかもしれません。
「窮鼠猫を噛むというから、彼を追い詰めすぎない方がいい」のような使い方をしますよ。
苦し紛れ
これはことわざではなく慣用句ですが、意味が近いので紹介しますね。
「困った状況を何とかしようとして、とりあえず思いついたことをする」という意味なんです。
「溺れる者は藁をも掴む」ほどの絶望感はなく、もう少し軽い状況でも使えるのが特徴ですね。
「苦し紛れの言い訳」「苦し紛れに嘘をつく」といった使い方をします。
切羽詰まった状況での行動という点では共通していますが、こちらの方が日常的な場面で使いやすいかもしれませんね。
「対義語」は?
それでは次に、「溺れる者は藁をも掴む」と反対の意味を持つことわざや表現を見ていきましょう。
対義語を知ることで、元のことわざの意味もより深く理解できるはずですよ。
泰然自若(たいぜんじじゃく)
これは「何があっても落ち着いていて、動じない様子」を表す四字熟語ですね。
「溺れる者は藁をも掴む」が冷静さを失った状態を表すのに対し、こちらは冷静さを保っている状態を表しているんです。
危機的な状況でも慌てず騒がず、堂々としている様子を「泰然自若としている」と表現しますよね。
まさに正反対の心理状態だと言えるかもしれませんね。
「あの人は会社が倒産の危機でも泰然自若としていて、頼もしかった」のような使い方をします。
精神的な強さや余裕を感じさせる表現なんですね。
余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)
これは「十分な余裕があって、ゆったりとしている様子」を表す四字熟語ですね。
切羽詰まって何にでもすがろうとする状態とは、まさに正反対ですよね。
「余裕綽々と構えている」「余裕綽々の表情」といった使い方をします。
時間的、経済的、精神的な余裕があって、慌てる必要がない状態を表現できるんですね。
「溺れる者は藁をも掴む」が追い詰められた状態なのに対し、こちらは何の心配もない安定した状態を表しているわけなんです。
わかりやすい対比ですよね。
選り好み(えりごのみ)
これは「多くの中から気に入ったものだけを選ぶこと」を意味する言葉ですね。
藁のような頼りないものにまですがる状態とは、対照的な心理だと言えますよね。
「溺れる者は藁をも掴む」が「選んでいる余裕がない」状態なのに対し、「選り好み」は「選択肢がたくさんあって、好きなものを選べる」状態を表しているんです。
「こんな状況で選り好みしている場合じゃない」のように使うと、まさに「溺れる者は藁をも掴む」に近い状況を表現できますよね。
余裕がある状態とない状態の違いが、よくわかるかもしれませんね。
「英語」で言うと?
「溺れる者は藁をも掴む」は、実は英語圏でも同じような表現があるんですね。
国際的なコミュニケーションでも使える表現を見ていきましょう。
A drowning man will clutch at a straw.(溺れる人は藁をつかむ)
これは「溺れる者は藁をも掴む」のもとになった英語表現なんですね。
意味も使い方もほぼ同じで、絶望的な状況で何にでもすがろうとする心理を表現しています。
"clutch"は「しっかりつかむ」という意味の動詞で、必死につかもうとする様子が伝わりますよね。
"at a straw"で「藁を」という意味になります。
ビジネス英語でも使える表現で、たとえば会議で「We shouldn't act like a drowning man clutching at a straw.」(藁をも掴む者のように行動すべきではない)といった使い方ができるんですね。
冷静な判断を促すときに使えるかもしれません。
Grasp at straws(藁をつかもうとする)
これは「A drowning man will clutch at a straw」を簡潔にした表現ですね。
より日常的に使われるカジュアルな言い方だと言えるかもしれません。
"grasp"も「つかむ」という意味で、"clutch"と似ていますが、こちらの方が一般的な単語ですよね。
"straws"と複数形になっているのは、「いろいろな藁(頼りないもの)」を表しているからなんです。
「He's grasping at straws.」(彼は藁をつかもうとしている=必死になっている)のように使います。
友人との会話でも使いやすい表現かもしれませんね。
Desperate times call for desperate measures.(絶望的な時には絶望的な手段が必要)
これは少しニュアンスが違いますが、関連する英語の表現ですね。
「緊急事態には非常手段が必要だ」という意味で、切羽詰まった状況での行動を正当化するときに使われるんです。
「溺れる者は藁をも掴む」が「頼りないものにすがる」という少しネガティブなニュアンスなのに対し、こちらは「状況に応じた大胆な行動が必要だ」というポジティブな意味合いもあるんですね。
「We have no choice. Desperate times call for desperate measures.」(選択肢がない。緊急時には非常手段が必要だ)のように使います。
決断を下すときに使える表現ですよね。
まとめ
「溺れる者は藁をも掴む」ということわざについて、意味から由来、使い方まで詳しく見てきましたね。
ここで大切なポイントをおさらいしておきましょう。
このことわざの核心は、切羽詰まった危機的状況では、人は冷静さを失って、どんなに頼りないものにでもすがろうとするという人間の心理を表しているということなんですね。
藁のように役に立たないとわかっていても、それでもつかもうとしてしまう。そんな必死さが伝わってきますよね。
使うときの注意点としては、本当に深刻な状況でのみ使うということです。
ちょっとした不安や軽い困りごとには使わない方がいいかもしれませんね。
また、このことわざは西洋から伝わってきたものですが、人間が追い詰められたときにどう行動するかという観察は、文化を超えて共通しているんですね。
それだけ普遍的な人間の性質を表現しているということかもしれません。
類語の「藁にもすがる」や「背に腹は代えられぬ」、対義語の「泰然自若」や「余裕綽々」と合わせて覚えておくと、状況に応じた表現ができるようになりますよ。
英語表現の「A drowning man will clutch at a straw」や「Grasp at straws」も、ビジネスシーンで使えるかもしれませんね。
日常生活でも、ビジネスでも、人が追い詰められた状況を表現したいときに、ぜひこのことわざを使ってみてください。
きっと相手にも状況の深刻さが伝わるはずですよ。ただし、人を励ますときには、対義語の「泰然自若」のような前向きな言葉を選んでくださいね。