
「遠きに行くは必ず近きよりす」ということわざ、聞いたことはあるけれど、正確な意味を聞かれると少し迷ってしまいますよね。
何となく「遠い場所に行くには近くから…」という雰囲気は伝わってくるかもしれませんが、実際にどんな場面で使えばいいのか、どんな由来があるのか、気になるところです。
実はこのことわざ、目標達成や夢の実現を目指す私たちにとって、とても深い教訓を含んでいるんですね。
この記事では、「遠きに行くは必ず近きよりす」の意味や由来、具体的な使い方を例文とともに詳しく解説していきます。類語や対義語、英語表現まで網羅的にご紹介しますので、このことわざを日常生活やビジネスシーンで自信を持って使えるようになりますよ。
「遠きに行くは必ず近きよりす」を理解するための基礎知識

まずは、このことわざの基本的な情報から確認していきましょう。
正しい読み方や意味、そしてどのような背景から生まれたのかを知ることで、より深く理解できるようになりますよ。
読み方
「遠きに行くは必ず近きよりす」は、「とおきにゆくはかならずちかきよりす」と読みます。
「遠き」は「とおき」、「近き」は「ちかき」と、それぞれ古い日本語の形容詞の連体形ですね。
現代語では「遠いところ」「近いところ」と言うところを、格調高い古語表現で表していることがわかります。
「よりす」の部分は「より」(~から)と助動詞「す」が組み合わさったもので、「~から始める」という意味になるんですね。
意味
「遠きに行くは必ず近きよりす」の意味は、遠い場所へ行くためには、必ず近くの場所から歩き始めなければならないということです。
でもこれは単なる地理的な話ではないんですよね。
このことわざが本当に伝えたいのは、大きな目標や夢を達成するためには、一足飛びに結果を求めるのではなく、足元の小さな一歩から順序を追って着実に進むべきだという教訓なんです。
私たちは時々、目の前の地道な努力を飛ばして、いきなり大きな成果を手に入れたくなることがありますよね。
でも、どんなに素晴らしい目標でも、基礎をしっかり固めずに進んでしまうと、結局は崩れてしまうもの。
このことわざは、そんな私たちに「焦らないで、順序を大切にしよう」と優しく諭してくれているんですね。
語源と由来
「遠きに行くは必ず近きよりす」は、中国の古典『礼記(らいき)』の中の『中庸(ちゅうよう)』という章に由来しています。
『礼記』は儒教の経典の一つで、紀元前5世紀から紀元前2世紀ごろにかけて編纂されたとされる非常に古い書物なんですね。
『中庸』の中には、「君子の道は、費して隠なり。夫婦の愚なるも、以て知ることあり。夫婦の不肖なるも、以て能くすることあり。及びその至りに至りては、聖人と雖も知らざる所あり。君子の道は、費して隠なり。遠きに行くは必ず近きよりし、高きに登るは必ず低きよりす」という一節があります。
もともとは「遠きに行くは必ず近きよりし」という形で、「高きに登るは必ず低きよりす」(高い場所に登るには必ず低い場所から始める)という対句とセットで使われていたんですね。
この教えは、物事には順序があり、基礎から段階を踏んで進むことの大切さを説いています。
日本では古くからこの教えが伝わり、教育やビジネスの場面で親しまれてきました。
約2000年以上も前の知恵が、現代の私たちにも変わらず響いてくるというのは、本当に素晴らしいことですよね。
「使い方」がわかる「例文」3選

それでは、「遠きに行くは必ず近きよりす」を実際にどのように使うのか、具体的な例文を見ていきましょう。
日常会話からビジネスシーン、自己啓発まで、さまざまな場面で活用できますよ。
1:「起業したい気持ちはわかるけど、遠きに行くは必ず近きよりすというから、まずは副業から始めてみたらどうだろう」
これは、ビジネスや起業を考えている人へのアドバイスとして使う例文ですね。
いきなり会社を辞めて独立するのではなく、まずは本業を続けながら副業として小さくスタートし、段階を踏んで準備を整えていくことの大切さを伝えています。
きっと誰もが一度は「すぐに大きな成功を手に入れたい」と思ったことがあるかもしれませんね。
でも、基盤がないまま大きく踏み出すとリスクも大きくなるため、確実に一歩ずつ進む方が結果的に成功に近づけるという知恵を、このことわざは教えてくれるんです。
2:「英語がペラペラになりたいなら、遠きに行くは必ず近きよりすだよ。まずは毎日10分の単語学習から続けてみよう」
これは、学習や自己成長の場面での使い方です。
語学習得のような大きな目標を達成するには、いきなり難しい教材に挑戦するのではなく、毎日続けられる小さな習慣から始めることが重要ですよね。
「いつか英語を話せるようになりたい」と思いながらも、なかなか行動に移せない人は多いかもしれません。
でも、最初の一歩が小さければ小さいほど、続けやすく、結果的に大きな成果につながるんですね。
このことわざは、そんな私たちに「完璧を目指さなくていいから、今日できることから始めよう」と背中を押してくれます。
3:「新しいプロジェクトはワクワクするけど、遠きに行くは必ず近きよりすというし、まずは市場調査からしっかりやっていこう」
これは、プロジェクト管理やチームでの仕事の場面での例文です。
新しいことを始める時、つい華やかな部分や完成形ばかりに目が行きがちですが、成功のためには地道な準備作業が欠かせませんよね。
市場調査、顧客ニーズの把握、競合分析など、目立たないけれど重要な基礎作業をおろそかにすると、後で大きな問題が発生することもあるんです。
このことわざは、華やかさよりも堅実さ、スピードよりも正確さを大切にする姿勢を教えてくれます。
似た意味の「ことわざ」は?「類語」「言い換え」表現
「遠きに行くは必ず近きよりす」と似た意味を持つことわざは、実はたくさんあるんですよ。
それぞれ微妙にニュアンスが違うので、状況に応じて使い分けると効果的ですね。
千里の行も一歩より(千里の行も足下より)
このことわざは、「千里という遠い道のりも、まずは一歩を踏み出すことから始まる」という意味です。
中国の思想家・老子の『老子道徳経』に由来する非常に有名なことわざですね。
「遠きに行くは必ず近きよりす」と意味はほぼ同じですが、こちらは「最初の一歩を踏み出すこと」に特にフォーカスしている印象があります。
行動を起こすことの大切さを強調したい時には、こちらのことわざの方がぴったりかもしれませんね。
高きに登るには低きよりす
これは「遠きに行くは必ず近きよりす」と一緒に『礼記・中庸』に出てくる対句のことわざです。
「高い場所に登るには、必ず低い場所から始めなければならない」という意味で、まさに兄弟のような関係にあるんですね。
山登りをイメージするとわかりやすいかもしれません。
どんなに高い山でも、いきなり頂上にワープすることはできず、必ず麓から一歩ずつ登っていく必要がありますよね。
「遠きに行くは必ず近きよりす」が水平方向の移動を表しているのに対し、こちらは垂直方向の成長を表現していると考えるとわかりやすいですよ。
急がば回れ
「急がば回れ」は、「急いでいる時ほど、近道を選ばずに確実な遠回りの道を選んだ方が、結果的に早く目的地に着く」という意味のことわざです。
琵琶湖を渡る船が危険だった時代に、遠回りでも陸路を行った方が安全で確実だったという故事が由来とされていますね。
「遠きに行くは必ず近きよりす」が「順序を踏む」ことを強調しているのに対し、「急がば回れ」は「焦らず確実な方法を選ぶ」ことに重点を置いていると言えるでしょう。
でも、どちらも「一足飛びに結果を求めてはいけない」という点では共通していますよね。
ローマは一日にして成らず
これは西洋のことわざで、「偉大なローマ帝国も一日で築かれたわけではなく、長い年月をかけて少しずつ作り上げられた」という意味です。
大きな成果や偉業は、短期間で達成できるものではなく、地道な努力の積み重ねが必要だという教えですね。
「遠きに行くは必ず近きよりす」と比べると、こちらは「時間の経過」や「継続的な努力」の重要性をより強調している印象があります。
どちらも、私たちが焦りそうになった時に思い出したいことわざですよね。
「対義語」は?
次に、「遠きに行くは必ず近きよりす」と反対の意味を持つことわざや表現を見ていきましょう。
対義語を知ることで、このことわざの本質がより深く理解できるようになりますよ。
二階から目薬
「二階から目薬」は、「物事が思うようにいかず、まどろっこしくて効果が上がらない様子」を表すことわざです。
二階から目薬を差そうとしても、なかなか目に入らず、とても不便で効率が悪いですよね。
このことわざは、遠回りすぎて非効率的な方法を批判するニュアンスがあります。
「遠きに行くは必ず近きよりす」が「順序を踏む着実さ」を肯定しているのに対し、「二階から目薬」は「まどろっこしさ」や「非効率さ」を否定的に捉えている点で対照的と言えるでしょう。
棚から牡丹餅(たなからぼたもち)
「棚から牡丹餅」は、「努力せずに、偶然に幸運が舞い込んでくること」を意味することわざです。
棚の上から突然おいしい牡丹餅が落ちてきて、何もしていないのに得をするという状況を表していますね。
「遠きに行くは必ず近きよりす」が「地道な努力」や「段階を踏むこと」を重視しているのに対し、「棚から牡丹餅」は努力なしに結果を得ることを表しているため、まさに対義的な関係にあると言えます。
もちろん、たまには棚から牡丹餅が落ちてくることもあるかもしれませんが、それを当てにしていては成長はありませんよね。
一足飛び
「一足飛び」は、厳密にはことわざではなく慣用表現ですが、「途中の段階を飛ばして、一気に目的に達すること」を意味します。
「彼は一足飛びに出世した」のように使われることが多いですね。
「遠きに行くは必ず近きよりす」が「順序を大切にする」ことを教えているのに対し、「一足飛び」はまさにその順序を飛ばすことを表現しています。
時には一足飛びの成長が起こることもありますが、基礎がしっかりしていないと、その後の成長が続かないこともあるんですね。
だからこそ、「遠きに行くは必ず近きよりす」の教えが大切になってくるんです。
「英語」で言うと?
グローバルな時代ですから、このことわざを英語でどう表現するかも知っておくと便利ですよね。
英語圏にも似た意味を持つ表現がいくつかあるんですよ。
Rome was not built in a day.(ローマは一日にして成らず)
これは先ほど類語でも紹介した表現の英語版ですね。
「偉大なものは短期間では完成しない。時間をかけて少しずつ作り上げる必要がある」という意味です。
英語圏でも非常によく使われることわざで、ビジネスシーンや日常会話で幅広く使えます。
「遠きに行くは必ず近きよりす」と同じく、焦らず着実に進むことの大切さを伝える表現として、ぴったりですよ。
A journey of a thousand miles begins with a single step.(千里の道も一歩から)
これは老子の言葉を英訳したもので、直訳すると「千マイルの旅も一歩から始まる」という意味です。
日本語の「千里の行も一歩より」とほぼ同じ意味で、国際的にもよく知られている表現なんですね。
大きな目標や長い道のりであっても、まずは最初の一歩を踏み出すことが何より大切だという教えを、シンプルかつ力強く伝えています。
英語でプレゼンテーションをする時や、国際的なチームで働いている方なら、ぜひ覚えておきたい表現ですね。
Step by step.(一歩一歩、着実に)
「Step by step」は、「一歩ずつ、段階的に」という意味のシンプルな英語表現です。
ことわざというよりは慣用句に近いですが、「遠きに行くは必ず近きよりす」の本質である「順序を踏んで進む」という考え方を端的に表していますよね。
「Let's take it step by step.(一歩ずつ進めていこう)」のように、励ましの言葉としてもよく使われます。
カジュアルな場面でも使いやすいので、日常会話で「焦らず着実に」というニュアンスを伝えたい時にぴったりですよ。
まとめ
「遠きに行くは必ず近きよりす」について、意味や由来、使い方を詳しく見てきましたが、いかがでしたか?
このことわざの核心は、大きな目標を達成するには、一足飛びではなく、足元の小さな一歩から順序を踏んで着実に進むことが大切だという教えでしたね。
約2000年以上前の中国古典『礼記・中庸』に由来するこの言葉が、現代の私たちの生活やビジネスにも変わらず当てはまるというのは、本当に興味深いことです。
起業を目指す人も、新しいスキルを学びたい人も、大きなプロジェクトに挑戦する人も、きっとこのことわざから勇気をもらえるはずですよ。
焦らず、目の前の一歩に集中すること。基礎をしっかり固めること。順序を大切にすること。
これらは地味に見えるかもしれませんが、成功への確かな道筋なんですね。
類語の「千里の行も一歩より」や「急がば回れ」、英語の「Rome was not built in a day」なども合わせて覚えておくと、様々な場面で活用できるでしょう。
ぜひ、日常会話やビジネスシーンで「遠きに行くは必ず近きよりす」を使ってみてください。
きっと、あなた自身の心にも、そして周りの人の心にも、着実に進むことの大切さが響いていくはずですよ。