
「生き馬の目を抜く」ということわざ、聞いたことはあるけれど、実際にどういう意味なのか、正確に説明できますか?
なんとなく「素早い」とか「油断ならない」というイメージは浮かぶかもしれませんが、具体的にどんな場面で使えばいいのか迷ってしまいますよね。
実はこのことわざ、江戸時代から使われてきた伝統的な表現で、現代のビジネスシーンでもよく耳にするんですね。
「この業界は生き馬の目を抜くような世界だ」なんて言い回し、ドラマや小説でも見かけることがあるかもしれません。
この記事では、「生き馬の目を抜く」の正確な意味や由来、実際の使い方を例文とともに詳しく解説していきます。
さらに、似たような意味を持つことわざや、反対の意味を表す対義語、英語ではどう表現するのかまで、網羅的にご紹介しますね。
きっとこの記事を読み終える頃には、自信を持ってこのことわざを使えるようになっているはずですよ。
「生き馬の目を抜く」を理解するための基礎知識

まずは基本的なところから確認していきましょう。
ことわざの正確な読み方や意味、そしてどんな由来があるのかを知ることで、より深く理解できるようになりますよね。
読み方
「生き馬の目を抜く」は、「いきうまのめをぬく」と読みます。
比較的読みやすいことわざですが、「生き馬」を「いきば」と読んでしまわないように注意してくださいね。
「いきうま」と、しっかり「う」を入れて読むのが正解なんです。
また、「抜く」は「ぬく」であって「ばつ」ではありませんので、そこも間違えないようにしましょう。
意味
「生き馬の目を抜く」には、主に3つの意味があるとされています。
まず一つ目は、生きている馬の目を抜き取るほど素早く物事を行う様子を表します。
これは文字通り、動いている馬から目を抜くという難しい行為をやってのけるほどの素早さを意味しているんですね。
二つ目は、ずる賢くて抜け目がなく、油断ならない様子を指します。
これが実は最も一般的な使われ方かもしれませんね。
商売や競争の場面で、手段を選ばず利益を得ようとする人や状況を表現する際によく使われるんです。
三つ目は、素早く相手を出し抜いて利益を得るという意味です。
機先を制して自分の利益を優先する、というニュアンスが含まれていますね。
これらの意味に共通しているのは、どちらかというとネガティブな印象を持つ表現だということなんです。
「素早い」という要素はポジティブに聞こえるかもしれませんが、実際には「ずる賢い」「油断ならない」という警戒すべき様子を表すことが多いんですね。
語源と由来
このことわざの語源、気になりますよね。
実はこの表現、江戸時代の浄瑠璃『融大臣(とおるのおとど)』にまで遡るとされています。
なぜ「馬」なのかというと、馬は古くから人間と親密な関係にあった動物だからなんですね。
農業や交通手段として、人々の生活に欠かせない存在だった馬は、同時に非常に素早く動く動物でもありました。
そんな素早い馬の、しかも生きている状態で目を抜くというのは、想像しただけでも難しい行為ですよね。
「目を抜く」という表現には、単に「取り除く」という意味だけでなく、「欺く」「出し抜く」という意味も含まれているんです。
昔から「目を抜く」という言葉は、人を騙したり、隙をついて利益を得たりする行為を指す言葉として使われてきました。
さらに注目すべきは「生きている」という部分です。
死んだ馬の目を抜くのではなく、生きている馬の目を抜くというところに、この表現の残酷さ、そして抜け目のなさが強調されているんですね。
生きているからこそ馬は動きますし、抵抗もするでしょう。
それでもなお目を抜くというのは、それほどまでに素早く、容赦ない行為だということを表現しているわけです。
このことわざには類似の表現もあって、「生き馬の目を抉る(くじる)」とか「生き牛の目を抜く」といった言い方もあるんですよ。
ただ、馬の方が牛よりも素早いイメージがあるため、一般的には「生き馬」の方が多く使われているんですね。
商売の世界や競争の激しい環境で、油断していると一瞬のうちに相手に出し抜かれてしまう、そんな状況を戒める言葉として、江戸時代から現代まで使われ続けているというわけなんです。
「使い方」がわかる「例文」3選

では実際に、このことわざはどんな場面で使われるのでしょうか。
具体的な例文を見ていくと、使い方のイメージがぐっと湧いてきますよね。
日常会話からビジネスシーンまで、様々な場面での使用例をご紹介します。
1:「この業界は生き馬の目を抜くほど競争が激しいから、常に情報収集を怠らないようにしている」
これはビジネスシーンでよく使われる表現ですね。
IT業界や金融業界、ファッション業界など、トレンドの移り変わりが激しく、常に新しい情報やアイデアで競争している世界では、まさにぴったりの表現なんです。
ほんの少し油断しただけで、すぐに競合他社に追い越されてしまう、そんな厳しい環境を表現しています。
この例文では、そういった環境だからこそ、常にアンテナを張って情報を集めることが大切だ、という教訓も含まれていますね。
もしかしたら、あなたの業界もこんな感じかもしれませんね。
朝起きたら昨日までの常識が変わっているような、そんなスピード感のある世界で働いている方も多いのではないでしょうか。
2:「あの商人は生き馬の目を抜くような商売をして財を成したが、評判は良くない」
この例文は、ずる賢く手段を選ばずに利益を追求する人物を描写しています。
成功はしているけれども、その方法が必ずしも正当とは言えない、というニュアンスが含まれているんですね。
実際のところ、ビジネスの世界では結果を出すことが重視されがちですが、その過程で倫理的な問題があると、長期的には信頼を失ってしまうこともありますよね。
この例文はまさにそういった状況を表現しているわけです。
「生き馬の目を抜く」という言葉が持つネガティブなニュアンスが、よく表れている使い方と言えるでしょう。
素早く利益を得ることは悪いことではありませんが、そのやり方によっては周囲からの評価が下がってしまう、そんな教訓も読み取れますね。
3:「彼女は生き馬の目を抜くようなスピードで昇進していった」
この例文は、他の人よりも圧倒的に速く成果を上げて出世する様子を表現しています。
ここでの「生き馬の目を抜く」は、主に「素早さ」の側面が強調されていますね。
ただし、この表現にも多少の皮肉や警戒心が含まれている可能性があります。
あまりにも急速な昇進には、何か裏があるのではないか、手段を選んでいないのではないか、という疑念を持たれることもあるんです。
純粋に実力で上がっていったとしても、この言葉を使うことで微妙なニュアンスが加わってしまうんですね。
だからこそ、このことわざを使う際には、その文脈や相手との関係性をよく考える必要があるかもしれません。
褒め言葉として使ったつもりが、実は批判的に聞こえてしまうこともあり得るわけですから。
似た意味の「ことわざ」は?「類語」「言い換え」表現
「生き馬の目を抜く」と似たような意味を持つことわざや慣用句は、実は他にもいくつかあるんですよ。
それぞれ微妙にニュアンスが違うので、場面に応じて使い分けられると表現の幅が広がりますよね。
生き牛の目を抉る(いきうしのめをくじる)
これは「生き馬の目を抜く」とほぼ同じ意味のことわざです。
生きている牛の目を抉り取るという、同様に残酷で素早い行為を表現していますね。
馬と牛の違いですが、一般的には馬の方が素早く動くイメージがあるため、「生き馬」の方がより広く使われているんです。
ただ、地域や年代によっては「生き牛」の方を使う方もいらっしゃいますね。
意味としては変わりませんので、どちらを使っても間違いではないんですよ。
火事場の馬鹿力(かじばのばかぢから)
これは緊急事態において、普段は出せないような力を発揮することを表すことわざです。
火事場という危機的状況で、重い家具を一人で運び出したり、考えられないような力を出したりする様子を指します。
「生き馬の目を抜く」との共通点は、「素早さ」や「普通では考えられない行為」という部分ですね。
ただし、大きな違いもあります。
「火事場の馬鹿力」は基本的にポジティブな意味で使われることが多く、ずる賢さや抜け目なさといったネガティブな要素は含まれていません。
緊急時の人間の潜在能力を表現する言葉なので、使用する場面が異なるんですね。
抜け目がない
これは慣用句で、隙がなく、利益を逃さない様子を表します。
「生き馬の目を抜く」のニュアンスのうち、特に「油断ならない」「ずる賢い」という側面に近い表現ですね。
「彼は抜け目がない商売人だ」というように使われ、チャンスを見逃さない鋭さを持っている人を指します。
ただし、「生き馬の目を抜く」ほど強烈なインパクトはなく、もう少しマイルドな表現と言えるでしょう。
ビジネスシーンでは、時には褒め言葉として使われることもあるんですよ。
機を見るに敏(きをみるにびん)
これは好機を素早く見抜き、即座に行動に移すことを表す四字熟語的な表現です。
チャンスを逃さず、タイミングよく動ける人を指して使われますね。
「生き馬の目を抜く」との違いは、こちらの方がよりポジティブなニュアンスが強いという点です。
「機を見るに敏」は、判断力や決断力の素早さを褒める言葉として使われることが多いんです。
一方で「生き馬の目を抜く」は、その素早さが必ずしも正当な手段とは限らない、という含みがありますよね。
同じ「素早さ」でも、評価の仕方が違ってくるわけです。
「対義語」は?
では逆に、「生き馬の目を抜く」の対義語、つまり反対の意味を持つことわざにはどんなものがあるでしょうか。
対義語を知ることで、元のことわざの意味もより明確になってきますよね。
正直者が馬鹿を見る(しょうじきものがばかをみる)
これは正直に真面目にやっている人が、ずる賢い人に出し抜かれて損をするという意味のことわざです。
世の中の不条理を嘆く表現として使われることが多いですね。
「生き馬の目を抜く」が、ずる賢く素早く立ち回る側の行動を表すのに対して、「正直者が馬鹿を見る」は、その被害を受ける側の状況を表しているわけです。
つまり、「生き馬の目を抜く」ような人たちがいるから、正直者が割を食ってしまうという関係性があるんですね。
もちろん、実際には正直に生きることが長期的には信頼を得られるものですが、短期的には損をすることもある、そんな現実を表現した対比と言えるでしょう。
石橋を叩いて渡る(いしばしをたたいてわたる)
これは用心深く慎重に物事を進めることを表すことわざです。
頑丈な石橋でさえ、安全を確認してから渡るという、非常に慎重な姿勢を表現していますね。
「生き馬の目を抜く」が素早く大胆に行動する様子を表すのに対して、「石橋を叩いて渡る」は時間をかけて慎重に進む様子を表しています。
スピード感やリスクを取る姿勢という点で、まさに対極にある表現なんです。
ビジネスの世界では、どちらのアプローチも状況によって必要になりますよね。
時には素早く決断して機会を掴むことも大切ですし、時には慎重に検討してリスクを避けることも重要です。
この二つのことわざは、その対照的なアプローチを象徴していると言えるでしょう。
急がば回れ(いそがばまわれ)
これは急いでいるときこそ、確実で安全な方法を選ぶべきだという教えのことわざです。
琵琶湖を船で横断するよりも、遠回りでも陸路を行く方が安全で確実だという故事から来ているんですね。
「生き馬の目を抜く」が、とにかく素早く結果を出すことを重視するのに対して、「急がば回れ」は結果に至る過程の確実性を重視しています。
目先の速さよりも、最終的な成功を優先するという考え方ですね。
実際のところ、素早く動いて失敗するよりも、時間をかけても確実に成功する方が良い場合も多いですよね。
「生き馬の目を抜く」ような焦りや強引さに対する戒めとして、この「急がば回れ」という対義語が存在しているわけです。
「英語」で言うと?
では、「生き馬の目を抜く」という日本のことわざは、英語ではどのように表現されるのでしょうか。
直訳しても意味が通じにくいことわざですので、同じようなニュアンスを持つ英語表現を知っておくと便利ですよね。
Water sleeps, the enemy wakes.(水は眠るが、敵は目覚めている)
これは油断していると敵に出し抜かれてしまうという警告を表す英語の諺です。
直訳すると「水は眠るが、敵は目覚めている」となりますね。
水が静かに流れているときでも、敵は常に機会を狙って目を光らせているという意味で、「生き馬の目を抜く」が持つ「油断ならない」「常に警戒が必要」というニュアンスに近いんです。
特にビジネスや競争の場面で、相手の動きを常に意識しなければならないという教訓として使われます。
この表現は中東起源とも言われており、国際的なビジネスシーンでも理解されやすい表現なんですよ。
Dog eat dog world(犬が犬を食う世界)
これは熾烈な競争社会や弱肉強食の世界を表す英語の慣用句です。
同じ種である犬同士が互いを食い合うという、過酷な競争状態を表現していますね。
「生き馬の目を抜く」が、個人の素早さや抜け目なさを表すのに対して、「Dog eat dog world」は環境や社会全体の厳しさを表現する言葉です。
「This industry is a dog eat dog world.(この業界は生き馬の目を抜くような世界だ)」というように使えば、ほぼ同じニュアンスになりますね。
特にアメリカのビジネス文化では、この表現がよく使われているんです。
競争の激しさや、他人を押しのけてでも成功を目指す厳しい環境を表現するのにぴったりなんですね。
Cut-throat competition(喉を切るような競争)
これは非常に激しく容赦ない競争を表す英語表現です。
「cut-throat」は「殺人的な」「残酷な」という意味を持つ形容詞で、それほどまでに厳しい競争状態を表しています。
「生き馬の目を抜く」という日本語の持つ、残酷さや容赦なさのニュアンスに最も近い英語表現かもしれませんね。
「The market has cut-throat competition.(その市場は生き馬の目を抜くほど競争が激しい)」というように使えば、元のことわざの意味を的確に伝えることができるでしょう。
ビジネスのプレゼンテーションや会議で、市場の厳しさを説明する際によく使われる表現なんですよ。
国際的なビジネスシーンで働いている方は、ぜひ覚えておきたい表現ですね。
まとめ
「生き馬の目を抜く」ということわざについて、意味から由来、使い方まで詳しく見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
このことわざは、素早く物事を行う様子や、ずる賢く抜け目なく立ち回る人の姿を表現する言葉でしたね。
江戸時代から使われてきた伝統的な表現ですが、現代のビジネスシーンでも十分に通用する、むしろ今だからこそリアルに感じられることわざかもしれません。
特に重要なポイントとしては、この言葉が持つネガティブなニュアンスを理解しておくことですね。
単純に「素早い」という意味だけでなく、「油断ならない」「手段を選ばない」という警戒すべき要素が含まれています。
ですから、使う際には相手や状況をよく考える必要があるんです。
また、類語として「抜け目がない」や「機を見るに敏」、対義語として「石橋を叩いて渡る」や「急がば回れ」などを知っておくと、場面に応じた使い分けができるようになりますよね。
競争の激しい現代社会では、時には「生き馬の目を抜く」ようなスピード感や判断力が求められることもあるでしょう。
でも同時に、正直さや誠実さを失わないことも大切ですよね。
このことわざを知ることで、ビジネスや人生におけるバランスの取り方について、改めて考えるきっかけになるかもしれません。
ぜひ今日から、このことわざを意識して使ってみてください。
適切な場面で使えば、あなたの言葉に深みが増して、周囲からの評価も上がるかもしれませんよ。