
「貧すれば鈍する」ということわざ、聞いたことはありますよね。でも、いざ「どういう意味?」と聞かれると、正確に答えるのは意外と難しいかもしれませんね。
このことわざは、私たちの生活に深く関わる大切な教訓を含んでいるんですね。お金や生活の苦しさが、人の心や判断力にどんな影響を与えるのか。現代社会でも、とても身近なテーマだと思いませんか?
この記事では、「貧すれば鈍する」の意味や由来はもちろん、実際の例文、類語、対義語、英語表現まで、網羅的にご紹介していきますね。きっと読み終わる頃には、自信を持って使いこなせるようになっているはずですよ。
「貧すれば鈍する」を理解するための基礎知識

まずは基本から押さえていきましょう。ことわざの正しい読み方や意味、そしてどのようにして生まれたのか、順番に見ていきますね。
読み方
「貧すれば鈍する」は、「ひんすればどんする」と読みます。
「貧」を「ひん」、「鈍」を「どん」と音読みするんですね。比較的読みやすいことわざかもしれませんが、「鈍する」の部分を「とんする」と読み間違えないように注意してくださいね。
意味
「貧すれば鈍する」の意味は、貧乏になると生活の苦しさから精神の働きや知恵が鈍くなり、心まで貧しくなってしまうということなんですね。
お金に困ると、日々の生活に追われて心の余裕がなくなってしまいますよね。すると、本来なら賢明な判断ができる人でも、冷静さを失って愚かな行動をとってしまうことがあるんです。
これは単なる物質的な貧しさだけではなく、精神的な貧しさにも陥ってしまうという、深い意味を持っているんですね。生活の苦しさが、人間の本来持っている知性や判断力まで奪ってしまう。そんな厳しい現実を表したことわざなんです。
現代でも、失業や収入減によってネガティブ思考に陥ったり、人間関係が悪化したりすることがありますよね。まさにこのことわざが示している状況と言えるかもしれませんね。
語源と由来
「貧すれば鈍する」の由来については、実ははっきりとした起源はわかっていないんですね。ただ、いくつかの興味深い説があるんですよ。
まず、このことわざの基盤となったとされるのが、中国の『論語』(衛霊公篇)にある「小人窮すれば斯に濫す」という言葉なんです。これは「徳のない人は困窮すると自暴自棄になる」という意味なんですね。
この『論語』の教えが日本に伝わり、時代を経て「貧すれば鈍する」という形に変化していったと考えられているんです。
また、このことわざには「馬痩せて毛長し」という類語があるんですが、これも由来のヒントになっているかもしれませんね。馬が痩せ細ると、不健康なのに毛ばかりが長く伸びてくる。見た目は立派でも、実際の力は弱っているという状態です。
同じように、人間も貧乏になると、外見や体裁を取り繕おうとしても、内面の判断力や知恵が衰えてしまう。そんな喩えから生まれたという説もあるんですね。
時代背景としては、江戸時代の庶民の生活の中で、実体験として語り継がれてきたのかもしれませんね。生活の苦しさが人の心をどう変えるのか、多くの人が身をもって感じてきた教訓なんだと思います。
「使い方」がわかる「例文」3選

それでは、実際にどんな場面で使われるのか、具体的な例文を見ていきましょう。日常会話やビジネスシーンなど、さまざまな状況での使い方をご紹介しますね。
1:「失業してから、ネガティブ思考ばかりになってしまった。貧すれば鈍するとはこのことだね」
この例文は、失業による経済的困窮が精神面に影響を与えた状況を表していますね。
仕事を失うと、収入がなくなるだけでなく、将来への不安で頭がいっぱいになってしまいますよね。すると、前向きに考えられなくなったり、些細なことで落ち込んだりしてしまうんです。
本来ならポジティブに次のステップを考えられるはずなのに、生活の心配で頭が回らなくなってしまう。そんな状況を自己分析的に表現した使い方なんですね。
2024年以降、コロナ禍後の経済不安を背景に、こういった使い方が増えているとされていますよ。
2:「収入が減ってから、家族に八つ当たりしてしまう。貧すれば鈍するで、冷静な判断ができなくなっているな」
この例文は、経済的困窮が人間関係に悪影響を及ぼす様子を描いていますね。
お金の心配があると、イライラして周りの人に優しくできなくなることってありますよね。特に家族など身近な人には、ついきつく当たってしまいがちです。
本来なら大切にすべき家族との関係まで悪くしてしまう。これも「鈍する」つまり判断力が鈍っている状態なんですね。自分でそれに気づいて反省している様子が伺える使い方です。
生活の苦しさが、人としての優しさや思いやりまで奪ってしまう。そんな切ない現実を表しているんです。
3:「あの人は昔は立派だったのに、事業に失敗してからは詐欺まがいのことに手を出すようになった。貧すれば鈍するとは言うけれど、悲しいことだ」
この例文は、他者の変化を嘆く場面での使い方ですね。
かつては信頼できる人物だったのに、経済的に追い詰められてから倫理的に問題のある行動をとるようになってしまった。そんな人の変わりように驚き、悲しむ気持ちが込められています。
「貧すれば鈍する」は、こういった第三者の状況を客観的に評する際にも使われるんですね。ただし、この使い方には注意も必要です。困っている人を見下すような文脈で使うと、冷たい印象を与えてしまうかもしれませんからね。
どちらかというと、「そこまで追い詰められてしまったのだな」という同情や、「人間は環境によって変わってしまうものだ」という教訓の意味合いで使うのが良いかもしれませんね。
似た意味の「ことわざ」は?「類語」「言い換え」表現
「貧すれば鈍する」と似た意味を持つことわざや表現は、実はいくつかあるんですよ。それぞれ微妙にニュアンスが違うので、状況に応じて使い分けられると素敵ですよね。
馬痩せて毛長し
「馬痩せて毛長し」(うまやせてけながし)は、馬が痩せると体は弱るのに毛ばかりが長く伸びるという意味から、実質が伴わないのに外見だけは立派に見える状態を表すことわざなんですね。
「貧すれば鈍する」との違いは、こちらは「見かけと実際のギャップ」により焦点が当たっているところですね。貧乏になると、体裁を取り繕おうとして無理をしたり、本質的な力が衰えているのに気づかなかったりする。そんな状況を表しているんです。
「貧すれば鈍する」が「精神の鈍化」を強調しているのに対して、「馬痩せて毛長し」は「実力の低下と見かけの不一致」を強調している感じですね。
窮すれば濫す
「窮すれば濫す」(きゅうすればらんす)は、困窮すると自暴自棄になって、みだりな行動をとってしまうという意味なんですね。
先ほど由来のところで触れた『論語』の「小人窮すれば斯に濫す」から来ていることわざです。「貧すれば鈍する」とほぼ同じ意味ですが、こちらは特に倫理的に問題のある行動に走ってしまうことを強調しているんですね。
判断力が鈍るだけでなく、投げやりな気持ちから好ましくない行動をとってしまう。そんなニュアンスが強いかもしれませんね。
貧乏暇なし
「貧乏暇なし」(びんぼうひまなし)は、貧乏な人は生活のために働き続けなければならず、休む暇もないという意味のことわざですね。
「貧すれば鈍する」とは少し角度が違いますが、どちらも貧困が人に与える負の影響を表している点では共通していますよね。
「貧乏暇なし」は時間的余裕のなさを、「貧すれば鈍する」は精神的余裕のなさを表している感じですね。実際には、暇がないから精神的余裕もなくなり、判断力が鈍るという繋がりがあるのかもしれません。
貧すれば鈍する 鈍すれば窮す 窮すれば通ず
これは「貧すれば鈍する」を拡張した表現なんですね。2024年7月頃のブログなどで話題になっているとされていますよ。
意味としては、貧乏になると判断力が鈍り、鈍ると行き詰まるが、行き詰まることで逆に新しい活路が開けるというポジティブな解釈なんです。
「窮すれば通ず」は「行き詰まれば必ず打開策が見つかる」という意味のことわざですね。ネガティブな「貧すれば鈍する」に、前向きな「窮すれば通ず」を組み合わせることで、困難を乗り越えるメッセージになっているんです。
絶望的な状況でも、希望を捨てないことの大切さを教えてくれる言葉かもしれませんね。
「対義語」は?
「貧すれば鈍する」の反対の意味を持つことわざも見ていきましょう。ポジティブな側面を表す言葉たちですね。
衣食足りて礼節を知る
「衣食足りて礼節を知る」(いしょくたりてれいせつをしる)は、衣食が満ち足りて生活に余裕ができると、礼儀や節度をわきまえるようになるという意味なんですね。
これは「貧すれば鈍する」とは真逆の状況を表していますよね。経済的な豊かさが、精神的な余裕や道徳心を生むという考え方です。
中国の古典『管子』に由来することわざとされていて、人間の行動は生活環境に大きく影響されるという思想が込められているんですね。
「貧すれば鈍する」が貧困の負の側面を描いているのに対し、「衣食足りて礼節を知る」は豊かさの正の側面を描いているわけです。どちらも、経済状態が人の心や行動に影響するという点では共通しているんですね。
貧にして楽しむ
「貧にして楽しむ」(ひんにしてたのしむ)は、貧乏であっても、心を豊かに保ち、人生を楽しむという意味の表現なんですね。
これは「貧すれば鈍する」に対する、いわば精神的な対抗策とも言えるかもしれませんね。経済的には貧しくても、精神的には豊かでいられるという理想を表しているんです。
儒教的な価値観で、物質的な豊かさよりも精神的な充実を重視する考え方ですね。『論語』には「貧しくても道を楽しむ」という孔子の教えがあるんですよ。
ただし現実には、生活に困窮すると「貧にして楽しむ」の境地に至るのは難しいですよね。だからこそ「貧すれば鈍する」という厳しい現実を表すことわざも存在するんだと思います。
富めば鈍する
実は「富めば鈍する」という表現もあるんですね。これはお金持ちになると、かえって判断力が鈍ったり、傲慢になったりするという意味なんです。
「貧すれば鈍する」の対義語というよりは、むしろ「極端はどちらも良くない」という教訓を示しているのかもしれませんね。
貧しくても、豊かすぎても、人は本来の賢明さを失う可能性がある。適度なバランスが大切だという考え方ですね。
経済的な安定は必要だけれど、それに溺れてもいけない。そんなメッセージが込められているんじゃないでしょうか。
「英語」で言うと?
最後に、「貧すれば鈍する」を英語でどう表現するか見ていきましょう。海外の方と話すときや、英語の勉強をしている方には役立つかもしれませんね。
Poverty dulls the wit(貧困は知性を鈍らせる)
これが「貧すれば鈍する」に最も近い英語表現とされているんですね。
"Poverty"は「貧困」、"dulls"は「鈍らせる」、"wit"は「知性・機転」という意味ですから、直訳すると「貧困は知性を鈍らせる」となります。
日本語の「貧すれば鈍する」とほぼ同じ意味を持っていて、英語圏でも経済的困窮が精神面に与える影響は認識されているんですね。
"dull"という動詞は「鈍くする」「活気を失わせる」という意味で、刃物が鈍る(切れなくなる)ときにも使われる言葉なんですよ。人間の知性や判断力が「切れなくなる」イメージが伝わってきますよね。
Necessity is the mother of invention(必要は発明の母)
一見すると「貧すれば鈍する」とは逆の意味に思えるかもしれませんが、これも関連する表現なんですね。
直訳すると「必要は発明の母である」となります。困難や欠乏が、かえって創造性や工夫を生むという前向きなメッセージなんです。
これは先ほどご紹介した「貧すれば鈍する 鈍すれば窮す 窮すれば通ず」のポジティブな部分に近いかもしれませんね。困窮が必ずしも悪い結果だけをもたらすわけではないという考え方です。
実際、歴史上の多くの発明は、何かが不足していたり、困難な状況を打破する必要があったりしたときに生まれているんですよね。
When poverty comes in at the door, love flies out at the window(貧困が戸口から入ってくると、愛は窓から飛び出していく)
これは少し詩的な英語の諺なんですね。
意味としては、貧困が家庭に訪れると、愛情や人間関係まで失われてしまうという、「貧すれば鈍する」にかなり近いニュアンスを持っているんです。
経済的困窮が、人間の感情や関係性にまで悪影響を及ぼすという点で共通していますよね。愛情という最も大切なものさえ、貧困の前には維持できなくなってしまう。そんな悲しい現実を表しているんです。
イギリスの古い諺とされていて、昔から世界中で、貧困が人間に与える影響は認識されていたんだなと感じさせられますね。
まとめ
「貧すれば鈍する」について、意味から由来、使い方まで詳しく見てきましたね。
このことわざの核心は、経済的な困窮が精神的な余裕を奪い、判断力や知恵まで鈍らせてしまうという厳しい現実を表している点にあるんですね。
由来は『論語』の「小人窮すれば斯に濫す」にあるとされ、古くから人間社会で観察されてきた現象なんです。現代でも、失業や収入減によるメンタルへの影響として、このことわざの意味は色褪せていないんですよね。
使い方としては、自分自身や他者が経済的困窮によって冷静さを失った状況を表現するときに使います。ただし、困っている人を見下すような文脈では使わないように気をつけたいですね。
類語の「馬痩せて毛長し」や「窮すれば濫す」、対義語の「衣食足りて礼節を知る」などと合わせて覚えておくと、より深く理解できるはずですよ。
そして何より大切なのは、このことわざが単なる批判ではなく、「人間は環境に影響される存在だから、お互いに支え合う必要がある」というメッセージを含んでいることかもしれませんね。
「貧すれば鈍する」という現実を知りつつも、「窮すれば通ず」の希望を忘れない。そんなバランスの取れた考え方が、現代を生きる私たちには必要なのかもしれませんね。
ぜひ、このことわざの意味を心に留めて、自分自身の生活や、周りの人との関わり方を見つめ直すきっかけにしてみてくださいね。