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「河海は細流を択ばず」の意味や由来とは?例文でわかりやすく解説!

「河海は細流を択ばず」の意味や由来とは?例文でわかりやすく解説!

「河海は細流を択ばず」という言葉、どこかで耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。でも、いざ「どういう意味?」と聞かれると、なんとなくしか答えられないという方もいらっしゃるかもしれませんね。

このことわざは、実は大河や大海が小さな川の流れを拒まないという自然の摂理から、人間の度量や寛容さを表現した奥深い言葉なんですね。器の大きな人物の姿を教えてくれる、とても素敵な故事成語なんです。

この記事では、「河海は細流を択ばず」の正確な意味や由来、実際の使い方まで、例文を交えながらわかりやすく解説していきますね。類語や対義語、英語での表現も一緒に学んでいきましょう。

「河海は細流を択ばず」を理解するための基礎知識

「河海は細流を択ばず」を理解するための基礎知識

まずは「河海は細流を択ばず」の基本的な情報から見ていきましょう。読み方から意味、そしてどのように生まれた言葉なのか、順を追って理解していくと、このことわざの奥深さがより伝わってくるはずですよ。

読み方

「河海は細流を択ばず」は、「かかいはさいりゅうをえらばず」と読みます。

「河海」は黄河や大海を指し、「細流」は小さな川や流れのことですね。「択ばず」は「えらばず」と読みますが、「えらまず」と読み間違えてしまうこともあるかもしれません。正しくは「えらばず」ですので、覚えておきましょう。

また、「択」という漢字は「選」と書かれることもありますよ。意味は同じですので、どちらの表記でも大丈夫なんですね。

意味

「河海は細流を択ばず」の意味は、大河や大海がどんなに小さな川の流れでも区別せず、すべて受け入れることから、度量の広い大人物が人々の欠点や違いをえり好みせず、すべてを包み込む寛容さを持つことを表しています。

大きな川や海って、上流から流れてくる水も、小さな支流から合流してくる水も、すべて受け止めているわけですよね。どんな水でも「これはいらない」なんて拒まないんです。そして、そうやってたくさんの流れが集まることで、大河は深く豊かになり、大海は広大になっていくんですね。

これを人間に例えると、本当に器の大きな人物は、貧富の差や善悪、能力の高低などで人を差別することなく、どんな人でも分け隔てなく受け入れるということなんです。

偉大なリーダーや尊敬される人物が持つべき、理想的な姿勢を教えてくれる言葉だと言えるでしょう。

語源と由来

「河海は細流を択ばず」の由来は、中国の歴史書『史記』の「李斯伝」にまで遡るんですね。とても古い言葉なんです。

『史記』には「河海不擇細流、故能就其深」という一節があり、これは「河海は細流を択ばず、故にその深きを成す」という意味です。つまり、大河や大海が小さな流れを拒まないからこそ、あれほど深くなることができるのだという教えなんですね。

この言葉を記した李斯さんという人物は、秦の始皇帝に仕えた宰相で、大変優秀な政治家だったと言われています。彼が秦王に上奏した文書の中でこの言葉を用いたとされているんですよ。

当時、秦では他国出身者を国外に追放しようという動きがあったそうなんです。それに対して李斯さんは、「有能な人材を出身地で差別してはいけない」と主張するために、この「河海は細流を択ばず」の比喩を使ったんですね。大きな国を作るには、小さな力も含めて多くの人材を受け入れることが大切だと説いたわけです。

つまり、この言葉には単なる寛容さだけでなく、多様性を認めることで組織や国が強くなるという深い意味も込められているんですね。

もともと政治的な文脈で使われた言葉でしたが、時代を経て、現代では広く人間関係や組織運営の教訓として親しまれるようになったんです。

「使い方」がわかる「例文」3選

「使い方」がわかる「例文」3選

では、「河海は細流を択ばず」を実際にどんな場面で使うのか、具体的な例文を見ていきましょう。日常会話やビジネスシーンなど、さまざまな状況での使い方がわかると、このことわざがもっと身近に感じられるはずですよ。

1:「社長は河海は細流を択ばずの姿勢で、どんな社員の意見にも耳を傾けてくれる」

これはビジネスシーンでよく使われる表現ですね。

会社のトップである社長が、役職や経験年数に関係なく、新入社員からベテランまで、すべての社員の意見に真摯に耳を傾ける姿勢を表しています。

こういったリーダーのもとでは、社員たちも「自分の意見を言っても大丈夫なんだ」という安心感を持てますし、結果的に会社全体が活性化していくものですよね。まさに、小さな流れも受け入れることで大海が豊かになる、という教えが実践されている例だと言えるでしょう。

職場で「あの人は本当に器が大きいな」と感じた時に使える表現なんです。

2:「彼女は河海は細流を択ばずの心で、どんな人とも分け隔てなく接している」

これは、日常の人間関係における使い方ですね。

相手の社会的地位や経済状態、見た目などで態度を変えることなく、誰に対しても平等に温かく接する人を表現しています。

学校や地域社会、友人関係などで、「あの人はどんな人にも優しいよね」と評判の人っていますよね。貧富の差で態度を変えたり、有名人には媚びて普通の人には冷たくしたり、そういった差別をしない人のことを指すんです。

この例文のような人は周りから本当に尊敬されますし、きっと人望も厚いでしょう。人としての理想的な姿を示している、素敵な使い方だと思いませんか?

3:「偉大な政治家は河海は細流を択ばずで、すべての国民の声に耳を傾けるべきだ」

これは、もともとの由来に近い政治的な文脈での使い方ですね。

真の指導者というのは、自分を支持してくれる人だけでなく、反対意見を持つ人、少数派の人、社会的に弱い立場の人たちの意見にもしっかりと耳を傾けるべきだという主張を表しています。

選挙で票をくれた人たちだけを優遇するのではなく、国民全体のことを考える。それが本当の意味での「河海は細流を択ばず」の姿勢なんですね。

政治に限らず、組織のリーダーや団体の代表者など、多くの人をまとめる立場にある人に対して期待する時に使える表現です。「こうあってほしい」という理想を語る時にぴったりの言葉だと言えるでしょう。

似た意味の「ことわざ」は?「類語」「言い換え」表現

「河海は細流を択ばず」と似た意味を持つことわざや慣用句は、実はいくつもあるんですよ。それぞれ微妙にニュアンスが異なりますので、状況に応じて使い分けられるといいですよね。代表的なものを見ていきましょう。

大海は芥を択ばず

「大海は芥を択ばず」(たいかいはあくたをえらばず)は、大きな海はごみや塵も拒まないという意味で、「河海は細流を択ばず」とほぼ同じ意味を持つことわざです。

「芥」というのは、ごみやちりのことですね。海は清らかな水だけでなく、汚れたものまで受け入れてしまう、という表現なんです。

「河海は細流を択ばず」が量的な多様性(小さな流れも大きな流れも)を強調するのに対して、「大海は芥を択ばず」は質的な多様性(きれいなものも汚いものも)を強調しているとも言えるかもしれませんね。

どちらも「度量の大きさ」を表す言葉ですが、「大海は芥を択ばず」のほうがより「欠点や短所も含めて受け入れる」というニュアンスが強いかもしれません。

泰山は土壌を譲らず

「泰山は土壌を譲らず」(たいざんはどじょうをゆずらず)は、中国の名山である泰山が、どんな小さな土も拒まず受け入れることで高くなったという意味のことわざです。

これも『史記』の同じ「李斯伝」に記されている言葉で、「河海は細流を択ばず」とセットで使われることも多いんですね。実は李斯さんは、「泰山不讓土壌、故能成其大」(泰山は土壌を譲らず、故にその大を成す)という言葉も同時に述べているんです。

河海が「深さ」を成すのに対して、泰山は「高さ・大きさ」を成す、という対比になっているわけですね。どちらも「小さなものを受け入れることで大きな存在になれる」という教えは共通していますよ。

この表現も、度量の広い人物を讃える時に使える素敵なことわざです。

清濁併せ呑む

「清濁併せ呑む」(せいだくあわせのむ)は、清らかなものも濁ったものも、善いものも悪いものも、区別なく受け入れるという意味の慣用句です。

これは「河海は細流を択ばず」と非常に近い意味を持ちますが、少し違いもあるんですね。「清濁併せ呑む」の場合、時には黒白はっきりさせずに、グレーゾーンも許容するというニュアンスが含まれることがあります。

良い意味では「度量が広い」「現実的に物事を進められる」という評価になりますが、悪い意味では「善悪の区別が甘い」「妥協しすぎる」と捉えられることもあるんですよ。

状況によって褒め言葉にも批判にもなり得るという点で、「河海は細流を択ばず」よりも複雑なニュアンスを持つ表現だと言えるでしょう。

懐が深い

これは現代的な口語表現ですが、包容力があって、どんなことでも受け入れられる余裕があるという意味で、「河海は細流を択ばず」と同じ意味合いで使われますね。

「あの人は懐が深いから、失敗しても怒らないよ」とか「懐の深い上司に恵まれた」といった使い方をします。

カジュアルな会話では「河海は細流を択ばず」よりも「懐が深い」のほうが使いやすいかもしれませんね。でも、改まった場面や文章では、故事成語のほうが格調高く聞こえますよ。

「対義語」は?

「河海は細流を択ばず」と反対の意味を持つ言葉も知っておくと、このことわざの意味がより明確になりますよね。度量が広い姿勢の対極にあるのは、どんな態度なのでしょうか。

水清ければ魚棲まず

「水清ければ魚棲まず」(みずきよければうおすまず)は、水があまりに清らかすぎると、魚が住めないという意味から転じて、人格が高潔すぎたり、潔癖すぎたりすると、かえって人が寄り付かなくなるということを表すことわざです。

これは「河海は細流を択ばず」の対義語と言えますね。すべてを受け入れる寛容さではなく、逆に清廉さを求めすぎて排他的になってしまう状態を指しているんです。

もちろん、清潔さや正しさを求めることは大切なんですが、あまりに完璧を求めすぎると、人間関係がギスギスしてしまうこともありますよね。「ある程度の不完全さは許容する余裕も必要だよ」という教えが込められているんです。

完璧主義で周りの人が疲れてしまっている場合などに、戒めとして使われることが多い表現ですね。

選り好みする

これは現代的な表現ですが、好きなものだけを選んで、気に入らないものは拒むという意味で、「河海は細流を択ばず」の対義語として使えますね。

「彼は人を選り好みするから、本当の友達が少ない」といった使い方をします。

自分にとって都合のいい人、利益をもたらしてくれる人とだけ付き合おうとする態度は、「河海は細流を択ばず」の精神とは真逆だと言えるでしょう。こういう姿勢では、人からの信頼は得られにくいものですよね。

門戸を閉ざす

「門戸を閉ざす」(もんこをとざす)は、外部からの人や情報を受け入れず、閉鎖的になるという意味の慣用句です。

「河海は細流を択ばず」がすべての流れを受け入れる開放性を表すのに対し、「門戸を閉ざす」は外からの流入を拒む閉鎖性を表すという点で、対照的な表現ですね。

「あの組織は門戸を閉ざしていて、新しい人材が入りにくい」といった使い方をします。

組織や個人が保守的になりすぎて、新しい考えや多様な人材を受け入れられなくなっている状態を批判する時に使われることが多いんですよ。閉ざされた環境では、成長も発展も望めませんものね。

「英語」で言うと?

「河海は細流を択ばず」のような故事成語を英語でどう表現するのか、気になる方もいらっしゃるかもしれませんね。完全に同じニュアンスを伝えるのは難しいかもしれませんが、似た意味を持つ英語表現がいくつかありますよ。

The sea refuses no river(海はどんな川も拒まない)

これは「河海は細流を択ばず」をほぼ直訳した表現で、英語圏でも理解しやすい言い方ですね。

大きな海が、流れ込んでくるすべての川を受け入れるという比喩は、英語話者にも伝わりやすいんです。寛容さや包容力を表す表現として使えますよ。

ただし、これは諺というよりも、故事成語を英訳した形なので、英語のネイティブスピーカーが日常的に使うかというと、少し違うかもしれません。でも、意味は十分に伝わる素敵な表現だと思います。

The mighty ocean accepts all rivers(偉大な海はすべての川を受け入れる)

これも「河海は細流を択ばず」の意味を英語で表現したものですね。

「mighty ocean」(偉大な海、強大な海)という言葉を使うことで、大きな存在が小さなものを包み込むというイメージがより明確になっていますよね。

スピーチや文章の中で、リーダーの包容力や組織の開放性を語る際に使える表現だと思いますよ。比喩的な美しさも感じられる言い回しですね。

Broadmindedness(度量の広さ、寛大さ)

これは直接的な翻訳ではありませんが、「河海は細流を択ばず」が表す心の広さや寛容な姿勢を、一語で表現した英単語です。

「He is known for his broadmindedness.」(彼は度量の広さで知られている)といった使い方ができますね。

比喩的な表現ではなく、もっと直接的に「寛容さ」「心の広さ」を伝えたい時には、こういった単語を使うのが便利かもしれません。ビジネス英語でも使いやすい表現ですよ。

まとめ

「河海は細流を択ばず」、いかがでしたか?このことわざの意味や使い方について、少しでも理解が深まったなら嬉しいです。

改めて整理すると、このことわざは大河や大海が小さな流れも拒まないように、度量の広い人物はどんな人でも分け隔てなく受け入れる寛容さを持つべきだという教えを表しているんですね。

その由来は中国の『史記』にまで遡り、李斯という政治家が「人材を出身地で差別するべきではない」と説く際に用いた言葉だったんです。小さな力も含めて多様な人材を受け入れることで、組織や国は強く豊かになるという深い知恵が込められているんですよね。

現代社会でも、職場でのリーダーシップ、人間関係における寛容さ、多様性を尊重する姿勢など、さまざまな場面でこの教えは生きています。

私たちも日々の生活の中で、つい自分と違う人や自分より劣っていると感じる人を避けてしまいがちですよね。でも、「河海は細流を択ばず」の精神を思い出せば、もっと心を開いて、いろんな人と関わることができるかもしれません。

大海が多くの川を受け入れて豊かになるように、私たちも多様な人や考えを受け入れることで、きっと人間として成長できるはずですよね。

ぜひこの素敵なことわざを、日常の会話や文章の中で使ってみてください。きっと、あなたの言葉に深みと品格を添えてくれますよ。