ことわざ

「覆水盆に返らず」の意味や由来とは?例文でわかりやすく解説!

「覆水盆に返らず」の意味や由来とは?例文でわかりやすく解説!

「覆水盆に返らず」って、一度は耳にしたことがありますよね。なんとなく「取り返しがつかない」という意味かな?と想像できるかもしれませんが、正確にどういう意味なのか、どんな場面で使えばいいのかと聞かれると、ちょっと自信がなくなってしまいませんか?

実はこのことわざ、中国の古い故事から生まれた深い意味を持つ言葉なんですね。人間関係や仕事のミス、人生の選択など、さまざまな場面で使える表現なので、正しい意味を知っておくと、きっと役立つと思いますよ。

この記事では、「覆水盆に返らず」の意味・由来・例文はもちろん、類語・対義語・英語表現まで、わかりやすく丁寧に解説していきますね。最後まで読んでいただければ、このことわざを自信を持って使えるようになるはずです。

「覆水盆に返らず」を理解するための基礎知識

「覆水盆に返らず」を理解するための基礎知識

まずは基本からしっかり押さえていきましょう。ことわざの正しい読み方や意味、そしてどのようにして生まれた言葉なのかを知ることで、より深く理解できるようになりますよ。

読み方

「覆水盆に返らず」は、「ふくすいぼんにかえらず」と読みます。

「覆水」は「ひっくり返った水」つまり「こぼれた水」のことを指し、「盆」は平たい容器、お盆のようなものをイメージするとわかりやすいですよね。「返らず」は「戻らない」という意味ですから、直訳すると「こぼれた水はお盆に戻らない」となるんですね。

ちなみに、「ぼん」の部分を「ほん」と読み間違えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、正しくは「ぼん」ですので、気をつけてくださいね。

意味

「覆水盆に返らず」の意味は、一度起きてしまったことは、もう元に戻すことができないということです。

お盆から水をこぼしてしまったら、いくら拾おうとしても完全に元通りには戻せませんよね。それと同じように、取り返しのつかないこと、やり直しがきかないことを表現する際に使われるんですね。

本来は「一度離縁した夫婦は復縁できない」という人間関係の例えとして使われていました。でも現代では、もっと広い意味で使われていて、仕事でのミスや人生の選択など、さまざまな「取り返しのつかない状況」を表す言葉として定着しているんですよ。

このことわざが教えてくれるのは、「過ぎたことをくよくよ悔やんでも仕方がない」という教訓かもしれませんね。もちろん反省は大切ですが、起きてしまったことは変えられないのだから、前を向いて進んでいこうという前向きなメッセージも含まれているように感じます。

語源と由来

「覆水盆に返らず」の由来は、中国の古い故事にあるとされています。とても興味深いエピソードなので、詳しくご紹介しますね。

時は中国の周の時代。呂尚(りょしょう)という人物がいました。この呂尚さんは、後に「太公望(たいこうぼう)」として有名になる軍師なんですが、若い頃は貧しい生活を送っていたんですね。

呂尚さんは学問に励み、いつか世に出ようと勉強ばかりしていました。でも、なかなか芽が出ず、貧乏な暮らしが続いていたんです。そんな生活に嫌気がさした妻は、とうとう呂尚さんのもとを去ってしまいました。今でいう離婚ですね。

ところがその後、呂尚さんは釣りをしているところを周の文王に見出され、軍師として大抜擢されます。そして見事に出世し、高い地位と名声を得ることになったんですね。

すると、かつて彼を見捨てた元妻が現れて、「もう一度やり直してほしい」と復縁を迫ったそうなんです。きっと、成功した姿を見て、後悔したんでしょうね。

そのとき呂尚さんは、盆に水を入れて、それをわざと地面にこぼしました。そして元妻に向かってこう言ったとされています。

「この水を元通りに盆に戻すことができたら、あなたとやり直そう」

もちろん、地面にこぼれた水を完全に盆に戻すことなんて不可能ですよね。呂尚さんは、この行動で「一度壊れた関係は元に戻らない」ということを示したわけです。なかなか厳しい対応かもしれませんが、貧しいときに見捨てられた彼の気持ちも、わかる気がしますよね。

このエピソードから生まれたのが「覆水盆に返らず」ということわざなんですね。人間関係の修復不可能さを表す言葉として、長い歴史の中で受け継がれてきました。

現代では、必ずしも夫婦関係だけでなく、友人関係やビジネスパートナーとの関係など、さまざまな人間関係に当てはめて使われるようになっています。また、人間関係以外の取り返しのつかない状況全般にも使えるんですよ。

「使い方」がわかる「例文」3選

「使い方」がわかる「例文」3選

それでは、実際にどんな場面で「覆水盆に返らず」が使われるのか、例文を通して見ていきましょう。シチュエーションごとに使い方がイメージできると思いますよ。

1:「彼女と別れたことを後悔しているけど、覆水盆に返らずだから、もう前を向くしかないよ」

これは恋愛関係での使い方ですね。本来の由来である「離縁した夫婦」にも近い使い方と言えます。

大切な人との関係が終わってしまったとき、「あのときああしていれば」と後悔することってありますよね。でも、すでに別れてしまった関係を元に戻すのは、とても難しいことです。相手にも新しい人生があるかもしれませんし、時間は戻せませんから。

この例文では、後悔しながらも現実を受け入れて、前に進もうとする気持ちが表現されています。「覆水盆に返らず」には、諦めの気持ちと同時に、「だからこそ前を向こう」という前向きなニュアンスも含まれているんですね。

2:「あの契約を見送ったのは大失敗だったが、覆水盆に返らずだ。次の機会で挽回しよう」

ビジネスシーンでの使い方です。仕事をしていると、重要な判断を誤ってしまうこともありますよね。

大きな商談のチャンスを逃してしまった、投資の判断を間違えてしまった、優秀な人材を手放してしまったなど、ビジネスでは取り返しのつかない決断の連続です。でも、過去の失敗をいつまでも引きずっていても、状況は好転しませんよね。

この例文では、失敗を認めつつも、「次で取り返そう」という建設的な姿勢が示されています。ビジネスパーソンにとって、こうした切り替えの早さは大切な資質かもしれませんね。

「覆水盆に返らず」は、このように反省しつつも前進する姿勢を示すときにも使えるんですよ。

3:「今更後悔しても覆水盆に返らずだから、これからどうするかを考えよう」

これは日常生活の中で、さまざまな場面で使える汎用性の高い使い方ですね。

人生には、進学先の選択、就職先の決定、引っ越し先など、後から「別の選択肢のほうがよかったかも」と思うことがたくさんあります。でも、時計の針を戻すことはできませんし、過去を変えることもできませんよね。

この例文のポイントは、「だから、これからどうするか」という未来志向の言葉が続いていることです。「覆水盆に返らず」は、ただ諦めを促すだけの言葉ではなく、「過去は変えられないけれど、未来は作れる」という前向きなメッセージとセットで使われることが多いんですね。

友人や家族が過去の選択を悔やんでいるとき、励ましの言葉としてこのように使うこともできますよ。「もう戻れないんだから、これからのことを一緒に考えよう」という優しさを込めて使えると素敵ですよね。

似た意味の「ことわざ」は?「類語」「言い換え」表現

「覆水盆に返らず」と似た意味を持つことわざや慣用句は、日本語にもたくさんあるんですよ。それぞれ微妙にニュアンスが違うので、使い分けられるとより豊かな表現ができますね。

後の祭り

「後の祭り」は、すでに手遅れで、今さら何をしても間に合わないという意味のことわざです。

このことわざの由来は、お祭りが終わった後に行っても楽しめないという状況から来ています。祭りの本番は終わってしまって、屋台もなくなり、人も帰ってしまった後では、どんなに行きたかったと後悔しても遅いですよね。

「覆水盆に返らず」との違いは、「後の祭り」のほうがタイミングの問題を強調している点です。チャンスを逃してしまった、対処が遅れてしまったという、時間的な要素が強いんですね。

例えば「締め切りに間に合わなかった。今から謝っても後の祭りだ」というように使います。一方「覆水盆に返らず」は、起きてしまった事実そのものが変えられないことを強調するニュアンスがありますよ。

破鏡再び照らさず

「破鏡再び照らさず」(はきょうふたたびてらさず)も、中国の故事成語です。一度壊れた鏡は、もう元通りには戻らないという意味ですね。

これは「覆水盆に返らず」と非常に似た意味を持っています。特に、夫婦関係や親密な人間関係が壊れてしまったときに使われることが多いんですよ。

鏡が割れてしまったら、破片を集めて接着剤でくっつけても、もう綺麗に映ることはありませんよね。同じように、信頼関係が一度壊れてしまうと、表面的には修復できても、完全に元通りにはならないという深い意味が込められています。

「覆水盆に返らず」が水という液体を使った例えなのに対し、「破鏡再び照らさず」は固体の鏡を使っている点が興味深いですね。どちらも「元に戻らない」という本質は同じですが、鏡のほうがより繊細で修復不可能な印象を与えるかもしれません。

取り返しがつかない

これはことわざというより慣用句ですが、「覆水盆に返らず」を最も簡潔に言い換えた表現と言えます。

「取り返しがつかない」は、もう元の状態には戻せない、やり直しがきかないという意味で、日常会話でも非常によく使われますよね。「覆水盆に返らず」よりもずっとカジュアルで、どんな場面でも使いやすい表現です。

例えば「取り返しのつかないミスをしてしまった」「取り返しがつかなくなる前に謝ろう」など、幅広い使い方ができます。

「覆水盆に返らず」が、故事に基づいた格式のある表現なのに対し、「取り返しがつかない」はより直接的で現代的な言い方です。同じ内容を伝えるにも、場面や相手によって使い分けるといいかもしれませんね。

元の木阿弥

「元の木阿弥」(もとのもくあみ)は、せっかく良い状態になったのに、また元の悪い状態に戻ってしまうという意味のことわざです。

実はこれ、厳密には「覆水盆に返らず」とは少し違うニュアンスなんですが、「元に戻る・戻らない」という点で関連する表現として覚えておくと便利ですよ。

「元の木阿弥」は、良い状態が長続きせずに元に戻ってしまう残念さを表すのに対し、「覆水盆に返らず」は、悪い状態が元に戻らない取り返しのつかなさを表します。つまり、視点が真逆なんですね。

例えば「ダイエットに成功したけど、すぐに元の木阿弥になってしまった」というように使います。一時的に改善したものの、努力をやめたら元に戻ってしまったという意味ですね。

「対義語」は?

「覆水盆に返らず」の対義語、つまり反対の意味を持つことわざも見ていきましょう。「元に戻らない」の反対ですから、「元に戻せる」「やり直せる」という意味の表現になりますね。

過ちては改むるに憚ること勿れ

「過ちては改むるに憚ること勿れ」(あやまちてはあらたむるにはばかることなかれ)は、間違いをしたら、ためらわずに改めるべきだという意味の言葉です。

これは孔子の言葉で、「失敗したら素直に認めて、すぐに正しい道に戻りなさい」という教えなんですね。まだ修正が可能な段階で使われる表現です。

「覆水盆に返らず」が「もう戻れない」という諦めを含むのに対し、この言葉は「まだ戻れる、だから戻ろう」という前向きな姿勢を促すものです。つまり、取り返しがつかなくなる前に軌道修正しようというメッセージなんですね。

例えば「間違った判断をしてしまったが、過ちては改むるに憚ること勿れというから、すぐに方針を変更しよう」というように使います。まだ完全に手遅れになる前なら、やり直すチャンスがあるということを教えてくれる言葉ですよ。

転んでもただでは起きぬ

「転んでもただでは起きぬ」は、失敗してもそこから何かを得て、むしろ良い結果につなげるという意味のことわざです。

これは「覆水盆に返らず」とは少し角度が違いますが、失敗に対する姿勢という点で対照的な表現と言えます。「もう戻れない」と諦めるのではなく、失敗を糧にして前進するという強さを表しているんですね。

「覆水盆に返らず」が「過去は変えられない」という事実を述べているのに対し、「転んでもただでは起きぬ」は「過去の失敗を未来の成功に変える」という積極的な姿勢を示しています。

例えば「契約は失敗したが、転んでもただでは起きぬ精神で、この経験を次に活かそう」というように使います。同じ失敗に向き合うにも、こんなに前向きな表現があるのは素敵ですよね。

やり直しがきく

これも慣用句ですが、「覆水盆に返らず」の最も直接的な対義語と言えるでしょう。まだ修正できる、取り返せるという意味ですね。

「やり直しがきく」は、まだ致命的な段階ではなく、再挑戦や修正が可能な状況を表します。「若いうちはやり直しがきく」「この段階ならまだやり直しがきく」など、希望を持てる表現ですよね。

「取り返しがつかない」の反対が「取り返しがつく」であるように、「覆水盆に返らず」の反対は「やり直しがきく」と考えると、とてもわかりやすいと思います。

人生において、「もうやり直しがきかない」と思う瞬間と、「まだやり直せる」と思える瞬間、その境界線はどこにあるのでしょうか。時には「覆水盆に返らず」と思っていたことでも、視点を変えれば「やり直しがきく」かもしれませんね。

「英語」で言うと?

最後に、「覆水盆に返らず」を英語でどう表現するか見ていきましょう。海外の方との会話や、ビジネスシーンでも使える表現ですよ。

It's no use crying over spilt milk.(こぼれたミルクを嘆いても無駄だ)

これは「覆水盆に返らず」に最も近い英語のことわざです。直訳すると「こぼれたミルクのことで泣いても意味がない」という意味ですね。

面白いことに、日本語では「水」を使っているのに対し、英語では「ミルク」を使っているんですね。でも、液体をこぼしたら元に戻らないという発想は、東洋も西洋も同じなんだなと感じます。

この表現は、「起きてしまったことをくよくよ悔やんでも仕方がない」という意味で使われます。「覆水盆に返らず」よりも、感情的な後悔を戒めるニュアンスが強いかもしれませんね。

例えば、"We lost the game, but it's no use crying over spilt milk. Let's focus on the next one."(試合に負けたけど、くよくよしても仕方ない。次に集中しよう)というように使います。

What's done is done.(終わったことは終わったこと)

これはシェイクスピアの戯曲「マクベス」に出てくる有名なフレーズです。「もう起きてしまったことは変えられない」という意味で、非常にシンプルで力強い表現ですね。

「覆水盆に返らず」と同じように、過去の出来事が不可逆であることを述べています。ただ、この英語表現のほうが、より簡潔で諦観的なニュアンスが強いかもしれません。

"What's done is done. We need to move forward."(終わったことは終わったこと。前に進む必要がある)というように、過去を受け入れて前を向くときに使われることが多いですよ。

ビジネス英語としても頻繁に使われる表現なので、覚えておくと便利です。日本語の「覆水盆に返らず」よりも短くて使いやすいので、国際的な場面では重宝するかもしれませんね。

You can't unring a bell.(鳴らした鐘の音は消せない)

これも面白い表現ですよね。鐘を一度鳴らしてしまったら、その音を取り消すことはできないという意味です。

特に、言ってしまった言葉や、公表してしまった情報など、一度外に出てしまったものは取り戻せないという文脈で使われることが多いんですよ。

「覆水盆に返らず」が主に行動の結果について使われるのに対し、"You can't unring a bell"は発言や情報の拡散について使われることが多いという違いがあります。

例えば、"Once you post something online, you can't unring a bell."(ネットに投稿したら、もう取り消せない)というように、SNS時代にぴったりの表現とも言えますね。現代ではデジタルタトゥーという言葉もありますが、まさにこの"You can't unring a bell"の概念そのものですよね。

まとめ

ここまで「覆水盆に返らず」について、詳しく見てきましたが、いかがでしたか?

このことわざは、中国の太公望の故事から生まれた言葉で、「一度起きてしまったことは元に戻らない」という意味でしたね。本来は夫婦の離縁を表す言葉でしたが、現代では仕事のミスや人生の選択など、さまざまな取り返しのつかない状況に使われています。

大切なのは、このことわざが単なる諦めの言葉ではないということです。確かに過去は変えられませんが、「だからこそ前を向いて進もう」という前向きなメッセージも含まれているんですね。

私たちの人生には、後悔する瞬間がたくさんあります。「あのとき別の選択をしていれば」「もっと早く気づいていれば」と思うこともあるでしょう。でも、時計の針を戻すことはできません。

「覆水盆に返らず」という言葉を知っておくことで、過去への執着から解放され、未来に目を向けられるかもしれませんね。取り返しのつかないことをしてしまったとき、このことわざを思い出して、「では、これからどうするか」を考える切り替えのきっかけにしてみてください。

ぜひ日常会話や文章の中で、このことわざを使ってみてくださいね。古い言葉ですが、現代にも十分通じる深い意味を持っているんですよ。