
「烏鷺の争い」という言葉、どこかで聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。囲碁の本を読んでいたり、名探偵コナンの考察記事を見ていたりすると、ときどき目にする表現ですよね。でも、いざ「これってどういう意味?」と聞かれると、すぐには答えられない方も多いかもしれません。
実はこの「烏鷺の争い」、囲碁の世界では古くから使われてきた美しい別称なんですね。黒石と白石が盤上で繰り広げる戦いを、カラス(烏)とサギ(鷺)に例えた言葉なんです。さらに最近では、ポップカルチャーの中でも新しい意味を持って注目されているんですよ。
この記事では、「烏鷺の争い」の正確な意味や古典に由来する語源、実際の使い方を示す例文、そして似た表現や英語での言い方まで、この言葉にまつわるすべてを丁寧にご紹介していきますね。きっと読み終わる頃には、この雅な表現を誰かに教えたくなっているはずですよ。
「烏鷺の争い」を理解するための基礎知識

読み方
「烏鷺の争い」は「うろのあらそい」と読みます。
「烏鷺」だけで「うろ」と読むこともありますよね。「烏」は音読みで「う」、「鷺」も音読みで「ろ」と読むんですね。烏(カラス)と鷺(サギ)という二種類の鳥を組み合わせた言葉なので、覚えてしまえば読み間違えることはないかもしれません。
ちなみに、囲碁の世界では「烏鷺」だけで囲碁そのものを指すこともあるんです。「烏鷺を楽しむ」といえば「囲碁を楽しむ」という意味になるんですよ。風流な表現ですよね。
意味
「烏鷺の争い」とは、囲碁の対局のことを指す雅な別称です。黒石(烏=カラス)と白石(鷺=サギ)が盤上で陣地を争う様子を、二種類の鳥が争う姿に例えた言葉なんですね。
囲碁では黒石と白石を使って対局しますよね。その黒い石をカラスに、白い石をサギに見立てているわけです。盤上で石が次々と置かれていく様子が、まるで鳥たちが飛び交って争っているように見えたのかもしれませんね。
転じて、白黒をつける戦いや、善悪の対立といった比喩的な意味で使われることもあります。特に最近では、名探偵コナンのファンの間で「黒の組織(烏丸)と正義(コナン)の戦い」を暗示する言葉として解釈されているという興味深い動きもあるんですよ。
囲碁の世界だけでなく、幅広い「対立」や「争い」の場面で使える表現なんですね。
語源と由来
「烏鷺の争い」の語源は、中国の古典『太平広記』巻四十にある「巴邛人」の物語に由来するとされています。とても幻想的な逸話なんですよ。
その物語によると、昔、巴邛(はきょう)という地方に住む男性がいました。霜が降りた後の橘(たちばな)の園に行くと、とても大きな実がなっていたんですね。男性は不思議に思って、その大きな実を収穫したそうです。
そして家に持ち帰って残った実を割ってみると、なんと中から碁盤と碁石が出てきたというんです。さらに驚くべきことに、その碁盤の上では烏(カラス)と鷺(サギ)が碁を打って争っている姿が見えたという伝説なんですね。
この神秘的な物語から、囲碁のことを「烏鷺の争い」あるいは単に「烏鷺」と呼ぶようになったとされています。囲碁に神聖さや不思議な魅力を感じさせる、素敵な由来ですよね。
日本には中国から囲碁が伝わってきましたが、この美しい表現も一緒に伝わってきたんですね。江戸時代以前の文献にもこの言葉が登場しているそうで、日本の囲碁文化の中でも長く親しまれてきた表現なんです。
橘の実から碁盤が出てくるなんて、まるで昔話のようで素敵ですよね。きっと昔の人々は、囲碁という高度な知的ゲームに神秘的な力を感じていたのかもしれません。
「使い方」がわかる「例文」3選

1:「祖父と父が縁側で烏鷺の争いに興じている姿は、我が家の日曜日の風物詩だった」
この例文は、囲碁の対局という本来の意味で「烏鷺の争い」を使っている典型的なパターンですね。
家族の中で囲碁を打つ習慣がある方なら、こういった光景に覚えがあるのではないでしょうか。祖父と父が真剣に碁を打っている様子を、文学的で風流な表現で表しているんですね。
「烏鷺の争い」という言葉を使うことで、ただ「碁を打っている」と言うよりも、格調高く、そして温かみのある情景描写になっていますよね。日常的な家族の団らんが、一気に趣深い場面として印象に残る表現になっているんです。
囲碁を指す雅語として、こんなふうに使ってみるのも素敵ですよね。
2:「この契約交渉はまさに烏鷺の争いだ。どちらも一歩も譲らない」
こちらの例文では、囲碁の対局から転じて、白黒をつける戦いや対立という比喩的な意味で使われています。
ビジネスシーンにおける交渉の場面ですね。お互いが自分の主張を譲らず、まるで囲碁の対局のように一手一手を慎重に打ち合っている様子が想像できますよね。
囲碁では黒と白がはっきりと分かれていて、どちらかが勝つまで戦いが続きます。その様子を契約交渉の緊張感あふれる場面に重ねているんですね。知的で戦略的な争いというニュアンスも含まれているかもしれません。
こういった比喩的な使い方をすると、単に「争い」や「対立」と言うよりも、教養を感じさせる表現になりますよね。
3:「名探偵コナンのファンの間では、黒ウサギ亭の伏線が烏鷺の争いを暗示しているという考察が話題になっている」
この例文は、現代のポップカルチャーにおける新しい解釈を示しています。名探偵コナンのファンの間で注目されている使い方なんですね。
作中に登場する「黒ウサギ亭」という場所から、「黒ウサギ→クロウサギ→烏鷺の争い」と連想し、黒の組織のボス「烏丸蓮耶(カラス=烏)」とコナン(正義=白=鷺)の対決を暗示しているのではないか、という考察があるそうなんです。
囲碁の黒石と白石の対立を、善と悪、闇と光の戦いに重ね合わせた解釈なんですね。古典的な表現が現代の作品分析に使われているのは、とても興味深いですよね。
こういった文化的な広がりを見せているのも、「烏鷺の争い」という言葉の魅力かもしれません。ファン考察の中では、2021年頃から活発に議論されているとされています。
似た意味の「ことわざ」は?「類語」「言い換え」表現
黒白をつける
「黒白をつける」は、物事の是非や勝負の決着をはっきりさせるという意味の慣用句ですね。
「烏鷺の争い」と同じく、黒と白という対照的な色を使って表現している点が共通しています。囲碁の黒石と白石のように、どちらかに決めるという意味合いなんですね。
ただし「黒白をつける」は結果を明確にすることに焦点を当てているのに対して、「烏鷺の争い」は争いのプロセスそのものを表している点が違いますよね。「烏鷺の争い」のほうが、戦いの様子や過程を詩的に表現しているニュアンスがあるかもしれません。
一進一退
「一進一退」は、進んだり退いたりして、なかなか決着がつかない状況を表す四字熟語です。
囲碁の対局でも、お互いが石を置き合い、陣地を奪い合いながら形勢が変わっていきますよね。まさに一進一退の攻防が繰り広げられるわけです。
「烏鷺の争い」が囲碁そのものや対立の場面を指すのに対して、「一進一退」はその戦いの中での膠着状態や拮抗した様子を表現しています。どちらも白熱した戦いの場面で使える言葉なんですね。
互角の勝負
「互角の勝負」は、実力が同じくらいで、どちらが勝つかわからない勝負のことを指します。
囲碁の世界では、実力が拮抗した者同士の対局こそが見応えのある「烏鷺の争い」になるわけですよね。どちらが優勢かわからない緊張感のある展開が続くんです。
「烏鷺の争い」が詩的で文学的な表現なのに対して、「互角の勝負」はより直接的でわかりやすい表現ですね。日常会話では「互角の勝負」のほうが使いやすいかもしれませんが、文章で雰囲気を出したいときには「烏鷺の争い」が効果的ですよね。
丁々発止
「丁々発止(ちょうちょうはっし)」は、激しく議論や戦いを交わす様子を表す四字熟語です。
刀と刀がぶつかり合う音「丁々」と「発止」を組み合わせた言葉で、もともとは剣術の場面を表していたんですね。それが転じて、言葉のやり取りや知的な戦いにも使われるようになりました。
囲碁の対局も、まさに知的な戦いの「丁々発止」ですよね。「烏鷺の争い」が静かで優雅なイメージなのに対して、「丁々発止」はより激しく動的な印象を与える表現かもしれません。
「対義語」は?
和を以て貴しとなす
「和を以て貴しとなす」は、争うことなく、調和を大切にすることが最も尊いという意味の言葉ですね。聖徳太子の十七条憲法の第一条に由来する有名な言葉です。
「烏鷺の争い」が対立や競争を表すのに対して、この言葉は協調や平和を重んじる姿勢を示しています。争いではなく、みんなで仲良くすることの大切さを説いているんですね。
囲碁のような勝負の世界とは正反対の考え方とも言えるかもしれません。ただ、囲碁も対局後には互いの打ち方を振り返り、学び合う文化があるので、争いと調和の両面があるんですよね。
握手
「握手」は、和解や友好の印として手を取り合うことを指します。
白黒をつけて争う「烏鷺の争い」とは対照的に、「握手」は対立を終わらせて歩み寄る行為を表していますよね。戦いの後の和解を象徴する言葉とも言えるかもしれません。
特にスポーツや勝負事の世界では、試合が終わった後に握手をして互いの健闘を讃え合いますよね。争いから協調へ、競争から尊重へという流れを象徴しているんです。
相譲る(あいゆずる)
「相譲る」は、互いに譲り合うことを意味します。
囲碁の対局では、陣地を奪い合い、一歩も譲らない戦いが繰り広げられますよね。それに対して「相譲る」は、自分の主張や利益を押し通すのではなく、相手のことも考えて譲歩する姿勢を表しているんです。
興味深いことに、早稲田大学の会報などでは「烏鷺の争い」を「譲り合い」の例えとして使っているケースもあるそうなんです。囲碁という高度な知的ゲームの中にも、相手を尊重する精神が含まれているということなのかもしれませんね。
「英語」で言うと?
A game of Go(囲碁の対局)
最もシンプルで直接的な英訳は「A game of Go」ですね。「囲碁の対局」という意味です。
Goは英語圏でも囲碁を指す言葉として定着しているんですよ。日本語の「碁」に由来していると言われています。「烏鷺の争い」の詩的なニュアンスはありませんが、意味を正確に伝えるならこの表現が適切ですよね。
例文としては、"My grandfather and father were engaged in a game of Go on the porch."(祖父と父が縁側で囲碁の対局をしていた)のように使えます。
A battle between black and white(黒と白の戦い)
「A battle between black and white」は、「黒と白の戦い」という意味で、「烏鷺の争い」の比喩的な側面を英語で表現した形ですね。
この表現は囲碁に限らず、善悪の対立や対照的な勢力の争いを表す際にも使えます。"The negotiation turned into a battle between black and white."(交渉は白黒つける戦いになった)のように使うことができるんです。
「烏鷺の争い」の持つ二項対立のイメージを、色の対比で表現している点が共通していますよね。
The clash of crows and herons(烏と鷺の衝突)
より文学的に訳すなら「The clash of crows and herons」という表現も考えられますね。「烏と鷺の衝突」という直訳的な表現です。
この表現は「烏鷺の争い」の語源である鳥の対立を、そのまま英語にしたものなんです。ただ、英語圏の人にはこの比喩が囲碁を指すとはすぐには伝わらないかもしれませんね。
詩的な文章や、日本文化を紹介する文脈では使えるかもしれません。説明を加えて"The clash of crows and herons, a poetic name for the game of Go"(烏と鷺の衝突、囲碁の詩的な呼び名)のように使うと良いかもしれませんね。
まとめ
「烏鷺の争い」について、意味から由来、使い方まで詳しくご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
この言葉は、囲碁の対局を黒石(烏)と白石(鷺)の戦いに例えた雅な表現なんですね。中国の古典『太平広記』の幻想的な物語に由来していて、日本でも江戸時代以前から使われてきた歴史ある言葉だということがわかりましたよね。
囲碁を指す本来の意味だけでなく、白黒をつける戦いや対立の比喩としても使える、とても奥深い表現なんです。さらに現代では、名探偵コナンの考察などポップカルチャーの中でも新しい解釈が生まれているのも興味深いですよね。
「黒白をつける」「一進一退」「丁々発止」といった類語と比べると、「烏鷺の争い」は特に文学的で風流な印象を与える表現だということもわかりましたね。日常会話ではやや使いにくいかもしれませんが、文章の中で使うと格調高い雰囲気を出すことができるんです。
もしあなたが囲碁を楽しむ方なら、ぜひ対局のことを「烏鷺の争い」と表現してみてください。きっと周りの人から「素敵な表現を知っているんですね」と言われるかもしれませんよ。また、何かの対立や競争を表現したいときにも、この言葉を使ってみると文章に深みが増すはずです。
古典に由来する美しい日本語を、私たちも大切にしていきたいですよね。